2015年12月31日木曜日

今年の10大ニュース

2105年が幕を閉じようとしています。
皆様はどんな一年でしたでしょうか。

私にとっては、ちょっぴり区切りを超えたような感じ。
会社にいれば定年退職になる日を過ぎてしまいました。

それでも毎日は変わることなく、朝はやってくるわけで。
キャリアパスとはこういうことだったんだなと、
16年前は「実感」ではなく、あくまでも「概念」で語っていたなと
懐かしく思い出しました。

今年も10大ニュースを書いてみました。

1. 事務所開設

新宿区四谷三丁目、荒木町は杉大門通。
レンガ貼りの古いマンション。最上階を借りた。
2DKに3つのテーブルを入れ、用途に合わせた使い方ができるようにした。
初めての個人事務所。
10年はやれるかな。

2. 一枚板、二枚購入

数名でのミーティングや研修を行う部屋には大きなクルミのテーブル。
1対1のカウンセリングには白いマカバのテーブル。
二枚の一枚板を据えた。
「あの部屋でやるのだったら行きたい」と思えるようなファシリティをめざして。
もちろん内容もだけど。

3. 篠田英美さんの写真購入


2005年に彼女の個展でみかけた写真。
「事務所を開いたら買いたい」
と言っていたのだが、やっとのことで購入にこぎつけた。

カウンセリングルームに架けてある
最初に写真が決まり、
事務所が決まり、
テーブルが決まった。

4. 帯状疱疹

まず、背中がかゆくなった。
気がつくとおなかに赤いもの。
近くの皮膚科に行く。
「あ、帯状疱疹です」
2週間ほどできれいになった。

5. HP開設

「定年したら営業しよう」と決めていた。
皆さんからお声がけいただいて、お仕事はあるものの
やはり自分からも発信しようと、10月1日にサイトをオープン。
事務所のアシスタントでもある友人が作ってくれた。
気に入っている。
www.comimi.biz

6. 娘の入院

「疲れた」「だるい」「学校に行けない」と不平不満ばかりの娘。
健康診断で潜血があり、病院に行くと即入院の指示。臓器移植も、と言われた。
薬の副作用で全身が発疹で覆われた。
娘にはつらいことだけど、受け入れないと先に進めない。
これも彼女の人生なのだから。

7. 年金受給者

35年勤務した会社から企業年金が支給されたので、一応、年金受給者かと
まったくの畑違いだった退職給付を何とかしろと上司に命じられ、
厚生年金基金から企業年金基金にしたのは私が指揮したプロジェクトだったもので。
ちょっと感慨深い。
で、
ちょっとジジイ。

8. 某社2025プロジェクト スタート

人事コンサルをしている会社に提案したプロジェクトが4月にスタートした。
10年後の会社を考えようと集まった8人のチーム。
毎回司会と書記が交代し、私がすることと言えば、司会者にフィードバックすることと人事の専門家として質問に答えるだけ。
すべてメンバーが話し合って決めていく。
すでに9カ月。完全に自走している。これからが楽しみ。

9. 体重70.0キロ台は高校生以来か

体重が減り、3月8日、9日、12日、13日、7月9日、8月29日、30日、31日、
9月2日、3日、9日の11日は体重が71キロ未満。高校生時代以来だ。
なのに、10月以降、体重が増えているの。
どうしてくれんのよ。

10. 事務所で手料理おもてなし食事会を7回開催

多い時で10人、少ない時でおひとりをお招きして、手料理をふるまった。
お店に気を使う必要もない。時間を気にする必要もない。
私がおいしいと思うものだけ、作れるだけのものしか出ない。
そんな場でも、皆さん楽しんでくれるし、喜んでくれた。
これもネットワークビルディング、かな。

次点 同級生と37年ぶりに再会

大学生の時に同じクラスだった友人と再会した。
卒業後、彼女は学校の先生、私は広告会社と全く別の世界へ。
お会いしていない37年間は一瞬にして消え去り、鍋に会話の花が咲く。
友達っていいなと思った。


いろいろなことがあった一年。
みなさまにはたいへんお世話になりました。
ありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。


コミュニケーション実験室
小篠一英

2015年12月28日月曜日

生きているだけで、みんな頑張っている。

今年も11月までの自殺者数が発表されています。
13年間3万人の自殺者を出していたこの国は、
2012年に3万人を割り、今年は24,000人まで減りそうです。
国が自殺者を減らそうとたくさんの施策を打ち出していることもあるでしょう。
カウンセリングという活動が特殊な世界の話ではなくなってきていることも事実。
みんなで助け合おうという気運が高まっていることもあるのでしょう。
お互いがお互いを気遣って、ウォッチしたり声かけ合ったり。
ちいさな行動が、大きな行動の抑止力にもなりうるはず。
私の知人も昔、友人に相談をされたのにどう対応していいかわからずにいたら
ある日突然、友人が自殺してしまった経験を持っています。
2年前に私と再会してカウンセラーになることを決め
今年からプロとして活動を始めました。

資格をもっていなくても、声をかけることはできます。
カウンセリングの経験がなくても、悲しい表情を察知することはできます。
ひとりひとりが気を配ることで、生きる自信を取り戻せる人が増える。
そう思っています。
だって、生きているというだけで、みんな頑張っているのですから。
 
 
今日あなたが出会う人に、あなたはどんな言葉をかけたいですか。
あなたは、どんな言葉をかけられたいですか。

2015年12月22日火曜日

ありがとうも承認

「承認」を英語でいうと、acknowledgment。
acknowledgementを英英辞典や英和辞典でひくと、
「認めること」「承認」「認知」という意味の他に
「感謝」「謝礼」や「感謝の気持ち」「感謝の言葉」という意味がでてきます。

「ありがとう」も承認のことばのひとつ。
「ありがとう」と相手に言うことは、
相手の言葉や行動に対して感謝の意を伝えることで、
相手の言葉や行動を認めていることを伝えているわけです。

 喫茶店でコーヒーを持ってきてもらっても「ありがとう」
 食堂でざるそばをサーブされても「ありがとう」
 レストランでクレジット精算をしても「ありがとう」
 ホテルにチェックインしても「ありがとう」

お金を払っているのは客のほうだから、
お金をもらうほうが「ありがとうございます」と言うべきで、
客がありがとうというのは変だ。という方もいる。その通りだと思う。
お金をいただくのだから「ありがとう」で当然だ。
サービスに対するペイをきちんとしてくれたことに対するお礼なのだから。
それではお金を払うほうは言わなくていいのかというと、そうではない。
サービス自体に対する謝礼はお金を払うと言うことで成立完了しているのかもしれないが、
サービスをしてくれた人の行為行動に対してもありがとうを言うことは
大切なことなのだと思っている。

 「今日休みます」と部下から連絡が来ても「ありがとう」
 街頭で配っているティッシュペーパーをもらっても「ありがとう」
 出席が義務付けられている会議に出席してくれた人にも「ありがとう」

常に「ありがとう」の気持ちを持っているだけで、
人と触れあうことが楽しくなってくる。
と私は考えている。


あなたが「ありがとう」を使うのはどんな時ですか。
最近、「ありがとう」と言われたのは、どんな時でしたか。

2015年12月14日月曜日

あいさつと承認

娘のことで八ヶ岳まで行ってきました。
全国いろいろな地域で同じような運動はやっているのですが
山梨県も「声かけあいさつ運動」に力を入れています。
北杜市ももちろん熱心に活動を展開していまして
歩いていると声をかけてくれます。
驚いたのは、こちらが車に乗っているというのに、
歩いている少年がおじぎをして「こんにちは」と
言ってくれた時です。

「あいさつ」は存在承認のひとつ。

「こんにちは」とあいさつすることは、
「あなたがそこにいることに気づいていますよ」
というメッセージを送っているということ。

「田中さん」と呼びかけることは、
「あなたの名前が田中さんであることを私は知っていますよ」
というメッセージを送っているのと同じこと。

そんな「承認のメッセージ」を送られたほうは、悪い気はしません。
何も特別なことはしていないのに、認められるわけですから。
承認欲求を満たそうとすることはいいことではないとアドラーは言いますが
承認されるといい気持になるのは事実。
「声かけあいさつ運動」の目的のひとつが、
犯罪防止であることをみてもわかります。
人から認められていないと、卑屈になってしまうかもしれないけど
人から認められると、いい気持になるから犯罪をする可能性が低くなるということ。

人に犯罪をさせないためにあいさつをするというのは本末転倒ではあるとは思いますが
人は、そんなささいなコミュニケーションで心を動かされるのもまた事実なのですね。

コーチングでは、部下を承認することで上司との関係はよくなると教えます。
カウンセリングでは、クライアントの行動や思いを受け入れる(承認する)ことで
人は心は開くものであると実感することができます。


あなたはどんな承認をしていますか。
今日、誰にどんな承認をしましたか。

2015年12月7日月曜日

コーチングが始まる時の約束ごと

コーチを始める時には必ずお会いしてオリエンテーションを行っている。
その際にお渡ししているシートのひとつが
「コーチングを始める前に」という文書だ。
テキストで書いてみる。

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コーチングを始める前に
<クライアントになるあなたとコーチである私が確認して同意しておくこと>


クライアントの約束
・テーマを決める
・ゴール(何を、いつまでに)を決める
・月に3回程度、コーチングセッションを持つ
・セッションの方法を決める(面談、電話、スカイプなど)
・面談の場合は、原則、「コミュニケーション実験室」のオフィスで行う
・電話やスカイプでのセッションの場合は、クライアントからコーチにアクセスする
・疑問や、いやな感じがあったらコーチにフィードバックする
・うまくいかないようだったら、打ち切りを申し出る

コーチの約束
・ゴール達成までサポートします
・守秘義務をもちます
 あなたの了解なしに、あなたの秘密にしたい話を他人に話しません
 一般的な体験談として、固有名詞を出さずに話すことはお許しください
・セッションを進めていく過程で、達成が不可能と思われる時には正直に申し上げます
・うまくいかないようだったら、新しいコーチを紹介します

お互いの同意
・セッションは、電話・スカイプの場合1回およそ30分、面談の場合およそ45分
・セッションは、1か月に3回程度
・3か月をめどに更新か終了かをクライアントとコーチの間で合意する
・費用は個人の場合、10,000円/回が原則 学生は別途相談
・面談にかかる実費はクライアントが負担する
・費用はコーチが指定する銀行口座に振り込む(振り込み費用はクライアントが負担)
・振込はその月のセッションの1回目が始まるまでに行う
・予定時刻から10分を経過しても連絡がない場合はキャンセルとし1回とカウントする
・無断のキャンセルが3回になった時点でセッションは終了する
 (無断キャンセルやセッションが終了した場合、お振込み済みの費用はお返しできません)
・スケジュール変更は、メールもしくは電話で前日までに連絡し再調整する

費用の振込先
 ◎◎銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号 xxxxxxxx 名義 小篠一英
 ▲▲銀行 △△支店 普通預金 口座番号 xxxxxxxx 名義 小篠一英
 ◆◆銀行 ◇◇支店 普通預金 口座番号 xxxxxxxx 名義 小篠一英

小篠の電話番号/Skype
 オフィス:03-XXXX-XXXX
 携帯:090-YYYY-YYYY
 Skype: Z.ZZZZ

不明な点がございましたらなんなりとお問い合わせください
mail:info@vvvvv.vvv

以上
※このシートには個人情報が含まれていますので取り扱いには十分ご注意ください

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海外のクライアントや制作会社と仕事をする時には、弁護士に再三のチェックをしてもらってから
契約書の調印、契約締結ということを何度もやっていた。

コーチングでも契約書を交わすことがホントはいいのかもしれない。
実際に、業務受託する場合には契約をしているのだから。

個人でそこまで、という気持ちもあってこういう形にしている。
契約書とは謳ってはいないが、約束という契約。
皆さん約束を守ってくれているから、私もこの形で続けようと思っている。


あなたは人を信頼することができますか。
信頼することで、あなたには何が生まれるでしょう。
信頼することで、相手には何が生まれるのでしょう。

2015年12月1日火曜日

日々のこと_20151201


11月の初めに、5年前のクライアントが事務所を訪ねてくれた。
心から「やりたい」と思ったことを現実のものにするために
北イタリアに3カ月滞在して準備をしてきたと言う。

求められているのではないかと想像した「自分」を演じていた過去。
こうしたいと信じる「自分」でいることができる現在。
歌と演劇を続けながら、もんどりうってのたうちまわって
たどりついた、今、なのだろう。

さらに1年、日本で準備を重ね、来年からはイタリアの人になる。
つたない私の手料理を食べながら、3時間半のお話。
「たいへんだけど、やってやる」という、自信を感じた。
 
お土産にいただいた、ステルフスのハーブティ。
彼女はどんな花を咲かせるのだろう。
元コーチとして、楽しみでならない。

2015年11月24日火曜日

リーダーとマネージャー

東洋経済新報社刊の「人材価値評価」という本に、
マネージャーとリーダーの対比があります。
すべてが正しいわけではないでしょうが、
こんな考え方もあります。


マネージャー                       リーダー   

感情的でない      ――    情熱的な夢追い人
告げる                           ――    尋ねる
話す                              ――    聞く
あまり期待しない             ――    もっともっとと励ます
なかなか信頼しない         ――   容易に信頼する
落ち着いている  ――    情熱的
答えを知っている             ――       提案に対してオープン
「どのように」を告げる   ――   「なぜ」を共有する
指示する  ――   方向を示す
部下を持つ  ――    フォロワーを持つ
細部を見る  ――   全体像を見る
システム中心  ――   人中心
「のように」と「なぜ」   ――    「何を」と「なぜ」
維持する  ――    始める
統制する  ――    鼓舞する
離れた位置にいる  ――    一緒にいる
目標/計画  ――  アイデンティテイ/価値観
仕事を適切に行う  ――    適切な仕事を行う
優れた兵士  ――    自分自身
損益を見る  ――   先を見る
安定を目指す  ――    変化を楽しむ
構造的  ――    柔軟
現状を認める  ――    現状に挑戦する

リーダーはリーダーの素養さえあれば十分なのでしょうか。
マネージャーはマネージャーの素養さえあれば十分なのでしょうか。

リーダーは、マネージャーでなくてもいいのでしょうか。
マネージャーは、リーダーである必要はないのでしょうか。

あなたの今の仕事は、マネージャーの仕事でしょうか。
それとも、リーダーの仕事でしょうか。

リーダーとマネージャー。
その違いを、あなたは説明することができますか。

あなたに必要な素養は、リーダー的なものでしょうか。
それとも、マネージャー的なものでしょうか。

2015年11月16日月曜日

コミュニケーションは一方通行

コミュニケーションは受け手がどう受け取ったかが問題で、
あなたが何をどう話したかは問題ではありません。

新入社員のときに同期の女性にこんなことを言われた。
「コピーライターが話すと、うそでもほんとに聞こえるよね」
このときに私は、美辞麗句という名のうそで固めたコピーは
絶対に書かないと誓った。

画家の友人の個展に行ったときに、感想を求められて。
「芸術って、受け手がどう感じるかですよね。
 コミュニケーションもそうですよね」

「言った」「言わない」でけんかになることはよくある。
事実はともかく。

言ったほうは確かに「言っている」のに、
聞いたほうが言った人の「言ったこと」を言った人と同じ意味で捉えていないから、
このけんかがいつも起こる。
「そういう意味じゃない」のに「そういう意味」に取ったということは、
送り手のメッセージが受け手には伝わっていないということに他ならない。

言うほうは、言われる人の気持ちになって、
言ったことや意味と、言われたことや意味、が同じかどうかをいつも意識したほうがいい。
確認したほうがいい場合もたくさんあるはず。

日本的な、「わかってるよな」というような阿吽の方便は絶対に避けるべき。
それはビジネスに限らない。
夫婦の約束にしてしかり、恋愛中のプラス思考カップルにしてしかり。
熱が冷めたときに、言ったことが言われなかったことになる、反対に、
言わなかったのに、言ったことになってしまうことは多いのですから。


あなたの言葉は、相手に正しく伝わっていますか。
正しく伝わったかどうかを何で判断していますか。

2015年11月9日月曜日

街なかで見かけることが難しい、「受容」と「共感」

先日の、良く晴れた日曜日のこと。
事務所に向かう道で、スーツ姿の母親と3歳ぐらいの男児を見かけた。
近くの幼稚園の入園試験だろうか。きちんとおめかししている。
男児がはしゃいでたかと思った瞬間、転んでかすり傷ができたようで
苦虫をつぶしたような顔に変わった。
母親は息子に近寄って、言う。
「痛くない。大丈夫。」すると
男の子は泣き出した。

親は多くの場合、同様な声のかけ方をする。
「痛くない。男の子だろ、泣くんじゃない」
「大丈夫。我慢しなさい。」
確かに、死ぬほどの出血ではない。
大丈夫であることは確かなのだが、
当の子どもにとっては、
「かすり傷ができた」
「痛い」
「血もにじんできた」
いやぁな気分になっているに違いない。

親に向かって自分の気持ちを主張しているにもかかわらず、
親はいとも簡単に否定してかかっている。
自分の主張が聞き入れてもらえなくて、
子どもはさらに大きな声で泣く。泣き続ける。
泣き続ける子供に向かって親はさらに言う。
「うるさい。」
「泣くんじゃない。」
「痛くない。」と。
泣き声は大きくなるばかりだ。

子どもは痛くて泣いているのではない。
親に自分の主張が受け入れられないのが辛くて泣いているのだ。
自分の感情が理解されていないことに憤って泣いてるのだ。

こんな時には、そこに起こっているそのままを受け入れてみる。
「擦りむいちゃったねぇ」
「あ、血がにじんでいる」
「痛いねえ」
すると子どもは泣くのをやめる。
「急に走り出してころんじゃったねえ」
「何につまづいちゃったんだろう」
「何かにひっかかっちゃったかなぁ」
子どもは、
「こうなって、ああなって、転んだ」と説明を始める。
もう涙は完全に止まっているはずだ。

人は、自分を受け入れてくれる人を自分の側の存在だと思う。
一緒にいることが心地よいと思う。
自分の主張や意見に反対する人を敵だと思う。
受け入れることが困難になってくる。
自分を受け入れてくれる人の言葉やアドバイスに耳を傾けることはできるが
自分の話を聴いてくれない人の話は聞きたいと思わない。

親子の会話の中に、学校の会話の中に、仕事仲間の会話の中に
「相手の気持ちを受け入れる」という感情があれば、
コミュニケーションはきっと、いや、必ず変わると信じている。


あなたの会話は、相手を受け入れる会話でしょうか。
もっと受け入れていることを伝えられるとしたら
どんな会話をすればいいと思いますか。

2015年11月1日日曜日

日々のこと_20151101


スタッフがお友だちから丹波篠山の黒豆をいただいてきた。
大晦日にまるまると太った黒豆を甘く炊くのが母の習慣でした。
黒豆は豆の中心まで黒いわけではなく、
豆の外側にある薄皮だけが黒い。
ちょっと不思議。

筆者の苗字は「小篠」と書いて「おざさ」と読む。
関西の方には、「丹波篠山のササで小篠」。
九州の方には、「福岡の篠栗線のササで小篠」。
武蔵野の方には、「吉祥寺の羊羹小ざさとササが違うんですが
オザサと読みます」と言っている。
ファッション界の方には、「コシノヒロコ、コシノジュンコと同じ
漢字で、小さいにシノ(篠)と書いて、オザサと読むんです」と。
名前を覚えていただくためにいろいんな方法を使っている。

初対面コミュニケーションの第一歩である自己紹介。
あなたはどんな自己紹介をされていますか。

2015年10月26日月曜日

フィードバックが人を成長させる

私はコーチを職業としていますが
会社人であった時には、後輩や部下たちのコーチもしていました。

ある時、途中入社の社員を集めて行う研修の担当者が
私のところに相談に来ました。
「先輩社員のパネルディスカッションをやりたい」と言って。
そして、
「司会をやってほしい」とも。
「え?私みたいなオジサンが出ていってもしょうがないでしょ。
 自分で企画したんだったら自分でやろうよ」と突き放しました。
「でも、自信がない」と彼女。
「その研修が終わった後に、受講生にはどう思ってほしいの?」
「この会社に入ってよかったな、とか、
 自分もやっていけるな、とか」
「ゴールのイメージはできているんだね。だったらできるね。」
そして私から提案をしました。
「育成チームのメンバーにパネラー役をお願いして、
 ファシリテーションの練習をしてみたらどうだろう」
さっそく彼女は3人のメンバーに声をかけて、シミュレーションを行った。

1回目はしどろもどろだった。
メンバーの3人からは、厳しいフィードバック。
「自分のメモばっかり見ていて、もっとこっちの話を聞いてほしかった」
「目があちこち泳いでいて、こちらが不安になった」
「顔の表情が硬くて、自信がないように見えた」
そして一週間後、もう一度、練習を行った。

今度は見違えるようなフィードバックがあった。
「話をじっくり聞いてくれて嬉しかった」
「前回と違って、たくさんうなずきがあった」
「目を見て話していくれたので、安心して話すことができた」

そして、彼女は言った。
「私、久しぶりに、自分が成長している感じがした。」と。

本番が上手くいったことはいうまでもない。

予行演習をすることは誰にでもできる。
ところが、正しいフィードバックを得られなければ
次に生かすことはできない。

もし、最初のシミュレーションで
「全然だめだよ。もっとはきはき言葉を出さなくちゃ」
「お前、俺の話、聞いてないだろ」
「おい、会社に入って7年間で何を学んでいたんだ」
なんていう意見、感想、アドバイスをもらってしまったら
どうなっていただろうか。

育成担当チームはフィードバックのスキルをすでに習得していた。
的確なフィードバックを得られたことで、
彼女は修正ができ、2回目に臨むことができたわけだ。

適切なフィードバックは人を一歩も二歩も前進させる力がある。
私はそう信じている。


あなたは、フィードバックをこころがけていますか。
あなたは、周囲からのフィードバックを求めていますか。

2015年10月18日日曜日

日々のこと_20151018


三鷹の農家のおばあちゃまが作っているという
生落花生をいただいた。
バンコクに赴任していたころ、
見つけると必ず買っていた蒸し落花生。
事務所には蒸籠がないので、茹でてみた。
タイでは一年中売っているが、
日本ではこの時期しか手に入らない。
松茸も栗もいいけど、ここにも秋がある。
 
昨日はカウンセラー同期の集まりがあった。
キャリアコンサルの資格を取ったり
カラーセラピーやヨガを取り入れて
カウンセラーの幅を広げている友人たち。
年に一度くらいしか会わないけれど
そのたびに新鮮な思いがする。
刺激しあいながら、これからも学んでいくんだろうなと思った。

それにしても、おしゃべり好きが多い。
傍から見ていたら、カウンセラーの食事会とは思えない。
やっぱり、人は話すことが好きなんだな、と思った。

2015年10月13日火曜日

就活コーチング_その2

就職活動をより効果的に進めるために学生をコーチしています。
今年は経団連の指針により、従来より4か月遅れてのスタートになりました。
とはいえ、すべての会社が指針通りに採用活動を遅らせたわけではありません。
指針に強い拘束力があるわけではなく、
早々に採用活動を始め、優秀な学生に内定を出した会社もあれば、
指針を遵守することで、欲しい人材を集められなかった会社もあります。
内定を出したものの、他社からも内定を得て辞退する学生が続出。
「オワハラ」なんていう言葉も誕生しました。
企業も学生も混乱してしまったようです。

そんな中でも、まったく混乱しなかった学生がいるはずです。
「行きたい会社に受け入れてもらえるかどうかは不安」かもしれませんが
「就活の時期がずれることで不安になることはない」という学生です。
多くの企業は、そういう学生を採用したいと思っています。

私は採用面談をたくさんこなしてきました。
学生さんの態度、視線、言葉遣い、口調、笑顔を観察し
「あ、この学生は、他の学生と違う」と感じることが
ときどきありました。

では、何が違うのでしょうか。
何をすれば、不安を感じない就職活動になるのでしょうか。

なかなか言葉で表すのが難しい「違い」。
あなたは、何が違うと思いますか。

2015年10月6日火曜日

日々のこと_20151006


セッションルームにあるテーブルに傷がついて直すことになった。
今日、代わりのテーブルがやってきた。

カウンセリングのために用意した部屋には、写真が飾ってある。
ウズベキスタンに流れるふたつの川が遠くに見えている。
友人の写真家から購入。この写真を先に決め、事務所が決まって
それに合わせてテーブルを入れた。
カウンセリングに必要なことは、いつも変わらない環境。
クライアントによけいな不安を抱かせないようにしたいと
考えている。
洗面所には季節の花があっても、カウンセリングルームは
いつもいつでも同じ装い。

人は、変わることに恐れを抱く。
ありのままの自分でいいんだ。
今の自分を受け入れることから、
自分を見つける旅が始まるのだから。

入院したテーブルは、11月末に退院して戻ってきます。

2015年10月1日木曜日

日々のこと_20151001


10月になりました。
「コミュニケーション実験室」のサイトがオープンしました。
長く勤めた広告会社を早期退職して2年半。
皆さまからの温かいお声がけもあり、仕事をしてきましたが、
これからは自分からも発信して、コミュニケーションの楽しさを
多くの方々にお伝えしていこうと思っています。

コミュニケーションには正解がない。
ということは、誰も教えてくれるものではない。
だからこそ、自分なりの答を見つけていく。
答を見つける過程で、次に同じような場面に出会ったときに、
きちんと対応できる力をつけておく。
そんなことのお手伝いができればいいと思っています。

パーソナルコーチやグループコーチング。
セミナーやファシリテーション、カウンセリング。
皆さまの、コミュニケーションに関わる課題に取り組んでまいります。

過去に書いたもの、今書いているものも読めるようなページも用意しました。
事務所が「夜の街」にあるものですから、探訪記も充実させていきたいと思っています。

ひとりひとりの毎日が、
自分の思いに近い毎日になるように。

「コミュニケーション実験室」にご期待ください。

2015年9月24日木曜日

今の私(2015年版)

2011年の「今の私」を掲載したので、
2015年版も書いてみました。
基本的なことは変わってはいないのですが、
ちょっと新しいところもあります。


毎年書いてみるのもいいなと思いました。


「今の私2015年版」20行です。


正しいことが好き。楽しいことが好き。
体重が減った。酒量もやや減った。
竹鶴の17年を気に入っている。
若い人が「成長する」「変わっていく」のを見たい。
料理が好き。事務所でもランチを作っている。
59歳で賃貸オフィス。けっこう快適。
事務所が好き。毎日通っている。
本を出したい。準備はできている。勇気がない。
離婚歴あり。求めすぎて失敗し、求めなくなった。
尿酸値は落ち着いた。薬も服用していない。
おもてなしが好き。事務所の客が多い。
夜更かしが得意。早く寝ると夜中に起きる。
物書きの端くれ。毎日少し書いている。
恥ずかしがらないことがクリエーティブ。
オプティミスト。最上最良最高主義。
泣き虫。カタルシスに浸るのが好き。なの?
吝嗇。使う時には使う。
ひとりがいい。人に囲まれるのもいい。
笑顔から何か生まれる。
人を愛することが好き。


いつだって自分は自分。
自分に恥じない生き方を。


あなたは、今の自分が好きですか。
何があれば、
もっと自分が好きになると思いますか。

2015年9月19日土曜日

今の私(2011年版)

2011年に書いたもの。
産業カウンセラー養成講座が始まって、二個目の宿題。
ちょっと懐かしさもあるけれど、私の原点でもあるかなと思ったので載せてみました。

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良いところも自分、悪いところも自分。
自分は自分以外のなにものでもない。
自分が嫌いな自分を、誰が好きになってくれるだろう。
と思っている。信じている。

「今の私」を20行にしてみた。
①正しいことが好き。正しくないことも好き。
②がらくたも本も思い出も、捨てられない。
③若い人が成長するのを見るのが楽しい。
④子煩悩で親ばか。子どもを愛しているから。
⑤料理が得意。娘は外食が嫌いになった。
⑥離婚1回。求めすぎた自分がいた。
⑦人に求めない。求めて失敗したから。
⑧尿酸値が高い。29歳の時からのお付き合い。
⑨夜更かしが得意。じじいだというのに。
⑩物書きの端くれ。自慢しちゃいけない。
⑪恥ずかしがらないことがクリエーティブ。
⑫リーダーより参謀。人はそう言わないけど。
⑬自分より人を優先。人もそう言う。
⑭泣き虫。妻と娘で私の涙に笑いこけている。
⑮吝嗇。ワイフには負ける。
⑯65歳まで住宅ローン。もう働きたくはない。
⑰笑顔から何か生まれる。悲しさからは何も。
⑱ひとりがいい。人に囲まれるのもいい。
⑲人見知り、気を許さない、でも人が好き。
⑳両親、姉・妹、妻、娘。愛している。

裏と表が一緒にあるように、人にはいろいろあっていい。
そこに一致はないけれど、だから人は面白い。

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2105年の現在と違うのは、⑯。

住宅ローンは、前倒しして払い終わった。
「もう働きたくない」けれど、働いている。


あなたは、今のあなたが好きですか。
あまり好きではなかったら、何があれば好きになれると思いますか。

2015年9月15日火曜日

旧「コミュニケーション実験室」でやってきたこと その5

現在「コミュニケーション実験室」として活動している小篠は広告会社出身。
担当は人事だったのですが、人事の勉強会に「コミュニケーション実験室」という名をつけており、その名前を頂戴して現在のサイトを運営しております。
ここでは「現在」と区別するために「旧コミュニケーション実験室」とタイトルをつけました。
ブログに書いたのはすでに3年ほど前のことです。

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「聞く」ことの大切さについて語っている本は五万とある。
私の本棚にも、「聞く」や「聴く」を解説した本が何冊かある。
しかしながら、どうもしっくりこない。
あれもこれもとたくさんの要素が盛り込まれているからだ。
マネジメント対象の研修や子育てあるいはコーチング研修で話をする時、私は聞くことについて、3つだけ話している。
たくさん言いたいことはあるけど、まずはこの3つを身につけてほしいと言っている。


①全身で聴く

からだのあらゆる部分が「聞いています」ということを示していることが第一。
相手のほうにからだが向いているか。
視線は相手をとらえているか。
上半身はやや前傾になっているか。
腕を組んでいないか。
笑顔か。
私は「あなたの声と気持ちと感情のすべてを受け入れる態勢でいます」と
からだが示しているかどうか、が基本なのです。


②最後まで聴く

人はおしゃべりが大好き。相手の話を遮ってでも話をしたがるのが人間です。
話したい気持ちをグッとこらえられるかどうかで、聞き手の能力がわかります。
もちろん、慣れてしまえばなんということはないのですが、最初はちょっと難しいかも。
「話すタイミングを失っちゃう」から話すんだ、という人がいます。
「忘れてしまいそうだから、思いついた時に話す」という人もいますね。
忘れてしまうくらいの話なんて、相手もきっとすぐに忘れてしまいます。
話す必要なんてないのかもしれません。
自分の話は、相手が話し終えてからで十分なのです。


③相手が話したことがこちらに「伝わった」ことを相手に伝える

いちばん単純な方法が、頷くことです。
頷いているだけで、話し手は気分が良くなってしまいます。
相手を気持ちよくさせたかったら、たくさん頷いてください。
合いの手を入れたり、相手の言葉を繰り返したり、要約して返したり。
話し手はもっともっと話したくなるはず。


今日から、あなたも聞き上手を始めてみませんか。


話を聞けるようになると、あなたの何が変わるでしょう。

旧「コミュニケーション実験室」でやってきたこと その4

現在「コミュニケーション実験室」として活動している小篠は広告会社出身。
担当は人事だったのですが、人事の勉強会に「コミュニケーション実験室」という名をつけており、その名前を頂戴して現在のサイトを運営しております。
ここでは「現在」と区別するために「旧コミュニケーション実験室」とタイトルをつけました。
ブログに書いたのはすでに3年ほど前のことです。

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コミュニケーション実験室ではスキルの解説も行っています。
たとえば、「聞く」の章では5つのテーマがあります。

・聞くことの重要性
・聞く態度の基本
・コミュニケーションの主体は聞き手
・メラビアンの法則
・聞く能力と話す能力

最初の「聞くことの重要性」では、大きくふたつの話をしました。


ひとつめは、私の体験談。

私のクライアントであるプロのコーチは 「話すコミュニケーション」から「聞くコミュニケーション」に変えたことで次々に顧客を獲得していったという話。

私のクライアントが、その話を知り合いに話したところ、知り合いの方も実践しお仕事をいただいた、という話。

一連の話を聞いた私の友人のコンサルタントが自分が講師を務める研修の担当者にこの話をしたところ「明日の研修はその話をやってくれませんか」と言われたという話。

この、事実を並べただけの話から学べることは、
「人は、自分の話を聞いてくれる人の話は聞くことができる」
     ↓
「人は、話を聞かない人の話は聞きたくないし、その人に命令されても行動を起こしたくない」ということ。


ふたつめは、カウンセラー養成講座でまず学ぶことで「傾聴の基本態度 3つ」です。

①自己一致 経験と自己概念の一致

②無条件の肯定的配慮=受容
肯定的なことであれ、否定的なことであれ、すべてありのままに受け入れる
クライアントを一個人として大切にし尊重していることの表れ

③共感的な理解=共感
相手の立場になって感じる 考える ただし客観的に

人は聞かれることによって、「受け入れられている」「尊重されている」「同じ立場になってくれている」と感じる。そこに、安心感が生まれ、信頼感が芽生える。

私個人の考え方を押し付けるような講義はしません。
・事実をたんたんと話すこと
・書籍に書かれていること、コーチングトレーニングやカウンセラー養成講座で学んだことを紹介すること
に徹しています。

場に出された課題をディスカッションするだけで、参加者はそれぞれに学んでいるようです。そろそろ3か月なので、「このまま進んでいいですか」と問うてみる必要がありますが。


教えることと学ぶことの違いって、何だと思いますか。

旧「コミュニケーション実験室」でやってきたこと その3

現在「コミュニケーション実験室」として活動している小篠は広告会社出身。
担当は人事だったのですが、人事の勉強会に「コミュニケーション実験室」という名をつけており、その名前を頂戴して現在のサイトを運営しております。
ここでは「現在」と区別するために「旧コミュニケーション実験室」とタイトルをつけました。
ブログに書いたのはすでに3年ほど前のことです。

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実験室でやっていることのひとつがファシリテーションの実践です。
参加者は6人。司会と書記は持ち回りにしています。今回はAさんが司会、Bさんが書記。次回はBさんが司会でCさんが書記。次はCさん司会でDさん書記。司会は1時間のミーティングの準備から仕事が始まります。

①講義のテーマを選ぶ
毎回、15分ほど私が講義をしています。テキストが用意してあり、26のスキルを記載済み。この中から、自分が話題にしたいテーマを選びます。
司会が今抱えている課題がスキルリストになければ、講師である私と協議して決めています。
私の講義と言っても、私独自の理論を披露するものではありません。コーチングで言われていること、カウンセリングの世界での常識、本からの引用。なるべく客観的なデータをもとに、一般論を紹介し、議論をしています。


②あなたならどうする?のネタを決める
コミュニケーションのケーススタディもたくさん用意しています。
こんなときに、あなたならどんなコミュニケーションをしますか?といった具合に。

たとえば、
夜7時。あなたは帰宅の電車の中。コーテシーシートの前に立っています。
3人掛けのコーテシーシートには、左から順に、
・イヤホンをつけてコックリしている男子学生
・読書中の中堅サラリーマン
・携帯に夢中の若い勤労女性
が座っています。

そこに、マタニティマークをつけた妊娠7カ月の女性(30歳)が乗ってきて、あなたの隣に立ちました。

さあ、あなたは何か行動しますか。
各自がどんな行動するのかを発表し合って、ディスカッションしています。


これまでの実験室では、このふたつでほぼ55分ほど使っています。
オープニングのアイスブレイクやクロージングで合計60分はあっという間。
司会の準備がきちんとできていれば、60分できれいに終了できるはずです。

ファシリテーションは、コミュニケーションスキルの中でも大切なスキルのひとつ。
頭で、知識として知るだけではなく、体で実践することも実験室の大きなテーマのひとつ。
みんなが少しずつできるようになればと思っています。


頭で考えたことを実際に行動できるようになるには、何が必要だと思いますか。

旧「コミュニケーション実験室」でやってきたこと その2

現在「コミュニケーション実験室」として活動している小篠は広告会社出身。
担当は人事だったのですが、人事の勉強会に「コミュニケーション実験室」という名をつけており、その名前を頂戴して現在のサイトを運営しております。
ここでは「現在」と区別するために「旧コミュニケーション実験室」とタイトルをつけました。
ブログに書いたのはすでに3年ほど前のことです。

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実験室に参加しているのは、6人。8~10人くらいまでは増えてもいいと考えている。
参加者に世話役の私からプレゼントをした。私が「人に薦めたい本は?」と聞かれたら、3本指には入る本。
「人を動かす」 デール・カーネギー著 山口博訳 創元社

目次だけを書いてみる。

 PART1 人を動かす三原則
  1 盗人にも五分の理を認める
  2 重要感を持たせる
  3 人の立場に身を置く
 PART2 人に好かれる六原則
  1 誠実な関心を寄せる
  2 笑顔を忘れない
  3 名前を覚える
  4 聞き手にまわる
  5 関心のありかを見ぬく
  6 心からほめる
 PART3 人を説得する十二原則
  1 議論をさける
  2 誤りを指摘しない
  3 誤りを認める
  4 おだやかに話す
  5 “イエス”と答えられる問題を選ぶ
  6 しゃべらせる
  7 思いつかせる
  8 人の身になる
  9 同情を持つ
  10 美しい心情に呼びかける
  11 演出を考える
  12 対抗意識を刺激する
 PART4 人を変える九原則
  1 まずほめる
  2 遠まわしに注意を与える
  3 自分のあやまちを話す
  4 命令をしない
  5 顔をつぶさない
  6 わずかなことでもほめる
  7 期待をかける
  8 激励する
  9 喜んで協力させる
 付録 幸福な家庭をつくる七原則
  1 口やかましくいわない
  2 長所を認める
  3 あら探しをしない
  4 ほめる
  5 ささやかな心づくしを怠らない
  6 礼儀を守る
  7 正しい性の知識をもつ

毎回、メンバーが本の中で気になった箇所についてコメントし、他のメンバーが意見を言う。
スキルがちりばめられた秀逸の一冊ではあるが、問題は実践するかどうか。
行動したものだけに果実は手に入ることを実感できる本である。


人を動かすために大切なことを3つ挙げるとしたら、あなたは何を挙げますか。

旧「コミュニケーション実験室」でやってきたこと その1

現在「コミュニケーション実験室」として活動している小篠は広告会社出身。
担当は人事だったのですが、人事の勉強会に「コミュニケーション実験室」という名をつけており、その名前を頂戴して現在のサイトを運営しております。
ここでは「現在」と区別するために「旧コミュニケーション実験室」とタイトルをつけました。
ブログに書いたのはすでに3年ほど前のことです。

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私は、広告会社に勤務しているサラリーマンです。同じ会社にもう30年以上も勤務しています。
とはいえ、職種はいろいろ変わりました。
スタートはコピーライター。広告制作に17年間たずさわってきました。
その後海外勤務。タイと中国でクリエーティブと営業を3年間やりました。
2000年に手を挙げて人事へ。もう12年になります。

人事に来てからコーチングを学び、カウンセリングを学び、子育てを学びました。
昨年から今年にかけて私の周りにはこんな声が聞こえてきました。
「コーチングを学びたい」
「コミュニケーションをよくしたい」
「社の活性化のためにコミュニケーションスキルが使えないか」
私に相談に来られた方にお声がけすると、皆さんウズウズした気持ちを抱えていらっしゃる。
だったら、勉強会から始めませんか、ということで、4月から学びの場が始まりました。
活動の名称は、「コミュニケーション実験室」。
いろんなコミュニケーションを知る。自分でも使ってみる。効果を確認する。
会社のコミュニケーションも良くなってほしいし、自分のスキルも磨いてほしい。
講義で知識を身につけるのではなく、実際に行動してもらう、まさに実験室。

この場で少しずつ紹介していきます。


学ぶとはあなた自身が何をすることだと思いますか。

2015年9月14日月曜日

ゆるすということ その2

ジェラルド・ジャンポルスキーは、同時に「ゆるしの実践」というものをまとめています。
ゆるすために、何をなすかについて書いています。

・「ゆるしたくない」という思いはブーメランのように自分に返ってくる。そんな苦しみとはさよならすると決意する。

・ゆるしたい人に手紙を書く。心のうちをありのままに書き、投函せずに破り捨てる。

・詩を書くのも、ゆるしに役立つかもしれない。思っていること、感じていることを、飾らずぞんぶんに表現する。

・ゆるしとはただ心の安らぎだけが目標であり、他人を変えたり罰することではないと、理解する。

・自分を傷つけた人を、ゆるしとは何かを教えてくれる最良の教師と見なす。

・他人をゆるすとき、実は自分がゆるされているのだという真実を思い出す。

・自分のためだけでなく他人のためにも祝福し、祈り、そのことを大切に考える。

・ゆるすことは、その人の行動に同意するのでも、人を傷つける行動を肯定するのでもないということを、思い出す。

・ゆるしがもたらす喜びと心の安らぎを楽しむ。

「ゆるしの原則」「ゆるしの実践」をみると、ジャンポルスキーが言おうとしていることが見えてきますか。

彼は、こう、つづっています。
「ゆるすということは、否定的な思いへのこだわりを手放すプロセス」と。

ゆるすことは、とっても難しいこと。それは相手のためではなく、自分のためにすることなのですね。相手が謝らないのに、ゆるすことなんてできない。と家族は言います。「謝る」「謝られる」にこだわることなく、ゆるすことができれば、心は平穏で居られるようです。

あなたにはゆるせない人がいますか。
あなたが彼/彼女をゆるすことで、あなたはどんな風に変われますか。
あなたが彼/彼女をゆるすことで、彼/彼女は、どんな気持ちになれるでしょうか。

「ゆるすということ」 ジェラルド・G・ジャンポルスキー著 サンマーク出版

ゆるすということ その1

以前に、「ふれっしゅはち」の話を書きました。
娘の小学校では、学校に持ってくる物を「ふれっしゅはち」という言葉に託しているのです。
その中の「ゅ」は、「ゆるす心」のこと。
ジェラルド・G・ジャンポルスキーという人が「ゆるすということ」という本の中に、「ゆるしの原則」を並べています。転記します。


・心を開き、「ゆるしについて、もっと違う見方ができるかもしれない」と考える。

・「人間は単なる肉体ではなくスピリチュアルな存在で、肉体は仮の宿だ」と考える。

・「生命と愛は同じもので、永遠かもしれない」と思いを巡らす。

・「自分を哀れんでも無意味だ」と知る。

・「あら探しは無意味だ」と知る。

・「正しさ」より「幸せ」を選ぶ。

・被害者としてふるまうのをやめる。

・心の安らぎだけを、目標にする。

・出会う人みんなを、ゆるしを教えてくれる教師と見なす。

・「恨みつづけたり、絶対にゆるさないと決めつけると自分が苦しいだけだ」と考える。

・いま、この瞬間の心の苦しみは、自分自身の思いが生みだしていると認める。

・「心に浮かべる思いは、自分で選べる」と信じる。

・「怒りにしがみついていると、本当の望みはかなわない」と信じる。

・何かを決めるときは、怖れでなく愛に基づいて決める。何よりも自分自身のために。

・「自分を罰するなんて無意味だ」と考える。

・「私は幸せになる権利がある」と信じる。

・相手は私を攻撃したのではなく、恐怖におびえて愛を求めているのだと考える。

・出会う人みんなのなかに、無邪気な子どもの光を見いだす。見かけがどうであろうと、どんなひどいことをした人であろうと。

・自分のなかに無邪気な子どもの光を見いだす。

・過去の傷ではなく、恵みを数える。

・裁きの思いを手放すとどんなすばらしいことがあるか、探す。

・「愛はこの世で最もすばらしい特効薬だ」と信じる。

・出会う人すべてを、忍耐を教えてくれる教師と見なす。

・「ゆるしが幸せの鍵だ」と信じる。

・「記憶を消す霊薬」で、愛された記憶以外を消し去れると信じる。

・すべての出会いが神聖だと理解する。目の前にいる人を、イエス、仏陀、モハメド、マザー・テレサなど、賢明でスピリチュアルな教師とみなす。表面的にはどうであれ、すべての出会いを神聖なものと見なし、何かを学ぶ機会としてふるまう。

・「他人や自分を傷つけたり罰したりするのは無意味だ」と考える。

ゆるしの目的は他人を変えることではなく、心のなかでせめぎ合う否定的な思いを変えることだと思い出す。


あなたは、人をゆるすことができますか。
人をゆるすことで、あなたが手に入れられることは何があるでしょう。

「ゆるすということ」 ジェラルド・G・ジャンポルスキー著 サンマーク出版

ほめることの功罪

「ほめられると育つタイプです」と自己紹介する若い人がいました。
たしかに、ほめられると人はいい気持ちになります。
ところが、「ほめられるのは好きじゃない。何か、魂胆があるような気がして。」という人もいます。ほめることには、いい面もあれば、悪い面もあるのでしょう。

ハイム・ギノットというイスラエル出身の臨床心理学者で児童教育の専門家が、その著書、「子どもの話にどんな返事をしていますか?」(草思社刊)で、子育てについて語っています。
その中のひとつに、「子どもは、ほめて育ててはいけない」という一節があります。ギノットは、1967年にすでに、書いているのです。

 利口だとほめられた子が、自分の高い評判を落としたくないばかりに、むずかしい課題に
 挑戦しなくなる、ということはめずらしくない。反対に自分の努力をほめられた子は困難な
 課題にもっと取り組むようになる。

ほめ続けていると、ほめられるために行動するようになる。ほめられないとやらなくなる。ほめることは評価すること。人は評価されたくないから、ほめることは成長につながらない。ほめるのであれば、愛情が先行したり人格を丸ごと賞賛するのではなく、やったこと、できたこと、行動や成果を具体的にほめてあげること。何ができたのか、認めてあげなさい。というのです。
「すごい」とか「いい子ねえ」とか「よくできた子ねえ」ではなく、「あなたは、○○することができたね。」という言い方をしなさい。というのです。

「ほめることの功罪」を研究している人がいまして。2008年にニューヨークジャーナルという雑誌にコロンビア大学のキャロル・ドウェックという学者の調査が報告されています。

・10歳のこども数十人に簡単なIQテストを実施。ノンバーバルのパズル。
・問題を終えて、半分の子どもには「才能をほめる」。「頭いいね」「偉いねえ」「すごいねえ」とかですね。半分の子どもには、「プロセスや成果をほめる」。「パズルが解けたね」「できたね」「頑張ったね」みたいなことですね。
・次は、難しいパズルと易しいパズルを用意して問題を子どもに選ばせる。
・才能をほめられた子どもは、易しい問題を選び、成果を認められた子どもは難しい問題を選ぶ傾向にある、という。
・これを何回か繰り返すと、易しい問題であっても、才能をほめられた子どもはだんだんできなくなり、成果やプロセスを認められた子どもはできるようになっている。という研究。
詳細はこちら。
“How Not to Talk to Your Kids -The inverse power of praise.” Po Bronson
http://nymag.com/news/features/27840/

コーチングでは、スキルの項目として「ほめる」というものがありません。あるのは、「承認」。個人の尺度で評価するのではなく、プロセスや成果を事実として承認してあげることです。事実を伝えることは、フィードバックにも共通します。今までできなかったことができるようになったときに、「偉い」「すごい」ではなく、「できたね」「新記録だ」というだけで、人はモチベーションを上げるものなのです。

「子育ての経済学」(ジョシュア・ガンズ著 日経BP社刊)という本にもキャロル・ドウェックの研究が紹介されています。

 現在の行動と将来的な報酬や罰の結びつきを理解すれば、それだけでインセンティブになるわけではない。コンテクストもまた重要だ。経済学理論だけがインセンティブではないからだ。報酬は目に見えるものばかりとはかぎらない。称賛もまた報酬となる。だからいつもいつも子供をほめてばかりだと、その報酬効果はなくなってしまう。
 称賛にはもうひとつ、難しい問題がある。心理学者キャロル・ドウェックは次のような実験を実施した。学童に簡単な非言語的IQテストを受けさせた後、無作為に選んだ一部の子に対してはその知能を称賛し、それ以外の子供たちは努力を称賛した。そして次のテストでは、簡単なものと難解なものを選択する権利を子供たちに与えた。すると、先のテストでのほめ方の違いがこの選択に影響を及ぼしたのである。努力をほめられた方の90パーセントは難解な道を選んだが、知能をほめられた方の大部分は容易な方を選んだのだ。
 次の段階では児童に選択権は与えられず、全員が極めて難解なテストを受けた。興味深いことに、努力をほめられた子供たちはさらに努力し、あらゆる道を検討した。だが「知的」な方の子供たちは早々に諦めてしまった。最後に、一番最初と同様の簡単なパズルが与えられた。すると、「努力派」児童の成績は30パーセントも上がったが、「知能派」の方は20パーセントも落ちたのである。
 ドウェックは元々、称賛が逆効果になる場合もあると予想していたが、これほど顕著な効果が出ることは予想外であった。「努力の強調は、子供に自らコントロール可能な変数を与える」と彼女は言う。「子供は自らを、成功をコントロールしうる存在とみなすようになる。一方、生来の知能を強調すると、それは子供のコントロール外のものとなり、失敗に対する有効な処方箋とはならない」。
 何も考えずにほめるのはたやすい。僕なんていつもやっている。だけどこの研究によれば、よくよく考えてほめないと、効果がないどころか却って有害なこともあるという。インセンティブが働くのは、子供たち(にかぎらないが)が自分の行動を制御できる時に限られる。誰かの生得的な才能をほめても、当人はそれを制御できないのである。一方、当人に制御可能なものをほめるなら、称賛という報酬は効果を発揮するのだ。

時間が前後するが、「子どもをほめてはいけない」と言い始めたのは、アルフレッド・アドラーかもしれない。
アドラーは罰することもいけないし、褒めることもいけないと言っている。
罰することは一時的には効果があるが、自尊心や勇気をくじく。
ほめることは、有能な(自分が有能だと思っている)人が、能力が低い人に「あなたは私より能力が低い」と言っているのと同じで、言われたほうはいい気持ちにはならない。「評価する側」「評価される側」という関係をつくってしまう、というのです。
そしてアドラーは、「行動そのもの」を見てあげなさい。というのです。

キャロル・ドウェックの実験がそれを裏付けています。
ほめることは決して悪いことではないのかもしれません。
ほめ方に注意さえすれば。

決して、「すごい」「偉い」とか「やればできるじゃないか」とかではなく。
「15回できたね」とか「3分でできたね」という事実だけを伝える。
それだけで十分なのです。


あなたは今日から、お子様や部下をどんなふうに叱り、どんな風にほめますか。

ふれっしゅはち

5年前に娘が小学校に入学した時のことを書いたものです。

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娘は今年、学芸大学附属世田谷小学校に入学しました。
家からあるいて20分弱のところにあり、のんびりした学校と聞いていたし、娘も雰囲気を気に入っていたものですから。
入学すると「毎日学校に持ってくる物」を忘れないようにとフレーズにして覚えさせるのです。
フレーズで謳ったものに加えて、必要なものをそろえてランドセルに入れています。
毎日必ず持ってくるものが「ふれっしゅ はち」です。

 ふ:ふでばこ (筆箱)
 れ:れんらくちょう (連絡帳)
 っ:つよいこころ (強い心)
 し:したじき(下敷き)
 ゅ:ゆるすこころ(赦す心)
 は:はんかち(ハンカチ)
 ち:ちりがみ(ちり紙)

だというのです。
大文字のひらがなはすべて「モノ」なんですが、拗促音の「っ」と「ゅ」は「心」や「気持ち」のことなんです。
私は児童教育の専門家ではありませんが、コーチや子育てアドバイザーの資格を取り、人を育成することを生業としている身として、「赦す」ということの大事さを痛感してきました。
娘にも、事あるごとに「赦すって難しいんだけど、大事なことなんだよ」と言い聞かせてきました。
それを学校の持ち物リストに入れている学校があったなんて、ちょっと驚きでした。

昨日も母親が娘の実験道具を踏みつけて壊してしまったので、娘は大泣きしていました。
母親の謝り方が気に入らなかったらしく、泣き続けます。
「悲しいねえ。こわれちゃって残念だったねえ」と共感しつくしてから、私は彼女に言いました。
「ママは、謝っているよ。ママを赦してあげよう。辛いけど、赦してあげよう」と言い聞かせました。
鼻水でべとべとになった顔を私のTシャツでぬぐうと、笑顔をとりもどして、夕食になりました。

ジェラルド・G・ジャンポルスキーという人が「ゆるすということ」という本を書いています。
彼は「赦す」ということを「否定的な思いへのこだわりを手放すプロセス」と定義しています。
赦せないことで心に何か引っかかってしまうと、前進するドライブがかからなくなってしまうというのです。


あなたには「赦せないこと」「赦せない人」がありますか。
「赦さない」ことでこだわっているのは何ですか。
赦したら、何が変わると思いますか。

「ゆるすということ」ジェラルド・G・ジャンポルスキー著 サンマーク出版

ビジョナリーカンパニー3部作

「ビジョナリーカンパニー(原題 BUILT TO LAST)」1995
「ビジョナリーカンパニー②(原題 GOOD TO GREAT)」2001
「ビジョナリーカンパニー③(原題 HOW THE MIGHTY FALL)」2010
ともに日経BP社刊(発行年は日本初版)

スタンフォード大学の教授だった、ジム・コリンズが中心になってデータを収集。
膨大な資料分析のもとに「存続している企業」「偉大になった企業」「没落した企業」の実態を
冷静に紹介している。英語の題のほうが、内容をはるかに正しくあらわしている。

・第5水準のリーダーシップを持っている人が飛躍を指導している
 派手で個性的なリーダーではなく、控え目で物静かで内気で恥ずかしがり屋である
・最初に人を選び、そのあとに目標を選ぶ
 適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、それから目的地を決める
・成長しても厳格さをもとめ、傲慢にならない
 大きくなることがいいことではない。人材が供給できないほどの早さで拡大すると失敗する
・衰退がはじまると一発逆転を狙って多くの場合に失敗する
 企業文化をまもり、強みを伸ばすことで成長は維持できる

②でグレイトな企業として挙げられていた企業が③では没落している。
没落した原因、回復した原因を列挙しているが、それは結果論になっていて、
何が学べるかというと、疑問が残った。
おそらく、没落した会社のようなことをやってはいけないということなのだが、
「最初に人を選び、あとで目的を選ぶ」ことが最重要なのだとしたら、いつの時代も、誰がやるかがもっとも大きな課題なのだろう。
本書でも言っている。「人材が最重要な資産ではない。適切な人材が最重要な資産なのだ」と。

あなたの会社は、その人で大丈夫ですか。
あなたが、あなたの会社のリーダーであったら、今、何をしますか。



2015年9月12日土曜日

もしドラ

2010年、「もしドラ」が流行った時に書いたもの。


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ドラッカーがまたブームになっているという。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本がベストセラーになっている。
著者は岩崎夏海さん。ダイヤモンド社刊。昨年12月初版。今回、訳あって読んでみた。3時間で読んでしまった。
こんなんで甲子園に行けるんだったらみんなドラッカーを読むよな、とは思ったものの、
企画や視点はとても面白いと改めて思いました。

マネジメント職というものになってから12年ほどになる。

海外赴任していた時に昇格したのだが、「マネジメント職研修」も海外赴任者までは手が回らず、ドラッカーを何冊も読むことでマネジメントの自習を続けていた。
ドラッカーの「マネジメント」は1973年の刊。今から37年前の本なのに、今の時代でも通用している。
時のマネジメントを分析したものではなく、マネジメントを発見した人と言われる所以である。
・われわれの使命(事業)とは何か
・われわれの顧客は誰か
・顧客にとっての価値とは何か
・われわれにとっての成果とは何か
・われわれの計画は何か
・われわれの組織はどうあるべきか

そんなことを教えてくれる。そして、彼は言う。

「マネジメントとは、成果に責任を持つことである」と。
部下が成果を出せないのは、上司の責任。能力を引き出すことも上司の能力なんだと説く。
命令一下、すべての部下が上司の思い通りに行動し想像に違わぬ成果を上げられた時代は終わっている。
新入社員から定年後の再雇用社員まで部下の年齢もいろいろ、派遣社員、出向受け入れ、業務委託等々、雇用形態も多様な社員たちを一束でマネジメントできる時代ではなくなっている。
10人の部下がいたら、10通りのマネジメント方法があると思ってくださいと、新任マネジメント研修では新人たちに講師として話をしている。
ミンツバーグが言うように、MBAはマネジメントの経験がある人が履修すべきだという意見に賛成する。
一方で、マネジメント職にない人がマネジメントを学ぶことにも大いに賛同する。
下ができた瞬間から、マネジメントは必要なのだから。

マネジメントは日々変わっていく。

成長期は親分肌のマネージャーが「行けぇ」と大声を出していればよかった。
しかし、今は違う。
あなたのマネジメントが問われる時代なのだ。


あなたはマネジメントスタイルに自信がありますか。

では、あなたは自分のマネジメントスタイルに何点をつけますか。

コーチングフィーの妥当性

会社員であったころは、社員のコーチは無料で引き受けていました。
社内でアルバイトはできませんからね。
社外のクライアントは有料。学生の場合は、
「払えるだけでいい」と言っていました。

コーチング専門会社では、エグゼクティブコーチングと称して
「30分で5万円」というところもたくさんあります。
法人であれば、「企業の人材を育てるためならそれくらい安いもんだ」
ということなのでしょうか。
一方で、某飲料メーカーのように、社内コーチを育てている会社もあります。
この場合、フィーは無料になります。

コーチングはブームが去っているとも言われます。
ビジネスとしては、成果のあいまいさがあるからかと。
かかった費用と、ゴール、あるいは結果のバランスに
納得性がないケースが多いのではないでしょうか。

コーチングのブームは終わっても、人を育てるとか、
人が成長するのをサポートすることにブームはありません。
「コーチング」という言葉は変わるかもしれませんが、
コーチングが持っている機能は生き続けると確信しています。

もちろん、「お金を払ってコーチをつけてよかった」と
言ってもらえるコーチでありたいと思っています。

あなたは、誰に育てられましたか。
自分の子どもや部下を、それと同じ方法で育てたいと思いますか。

2015年9月11日金曜日

就活コーチング_その1

「希望する会社に就職すること」をテーマに、学生をコーチしています。

Aさんは、とんとん拍子にすすみ、コーチングはわずか5回。大手通信会社に入りました。

Bさんは、苦戦を重ねたのですが、4ヵ月後に世界的にも有数の企業に入社。現在、単身赴任中。
Cさんは、将来の目標は医療コンサル。でもまずは、ビジネスを知ることと言って今はカリフォルニア。
Dさんは、情報産業の人事に配属されて5年。ベテランの人事の顔になってきた。
そして、Eさん。

大学の後輩で、就職課の先生に依頼されて話をしに行った時からコーチをすることになった。
7年前のこと。コーチをしたのは11回。私が勤務していた広告会社を受験するというので、コーチを終了。お会いしたのは、初回のただ1回だけだった。
そしてEさんから、今年の4月7日にメールを受け取ることになる。
「映画プロデューサーとして映画を製作したので、小篠にメールをした」と言う。
すぐに再開を果たす。2回目だというのに、7年ぶりだというのに、時間は飛んで行った。
Eさんは、就職活動が上手くいかず、大学を卒業すると同時に芸術大学の院に進み、映像を専攻。
院を卒業すると同時に大学に残り、映画作りを学び、プロデューサーとしてデビュー。
「一本になるまでは連絡したくなかった」とEさん。
コーチをしていた7年前のログを振り返ると、映画・映像の話ばかり。CFを作りたくて広告会社をめざしたが、うまくいかずに大学院に進んで、最後には自分のやりたいことをやっている。
コーチとしてこんなに嬉しいことはない。コーチ冥利に尽きるというものだ。

就社ではなく、就職を。と学生にはいつも言う。 

会社で選ぶのではなく、何をしたいのかで会社を選ぶ。
好きなことを仕事にすることを考えて、と言い続けてきた。

就活は、就職したい会社から内定をもらうことがゴールだが、私はそれだけをゴールにしたくない。

自分が自分の人生をどうやって生きていくのか。
今入社しようとしている会社で何を学ぶのか。
何を経験し、何を自分のものにし、将来の何に生かそうと思うのか。
そういうことを考えるもらうために、コーチをしている。そして、私のクライアントたちは、
それぞれに、自分の生き方を見つけていってくれている。
彼らの将来をしばらく見守っていきます。


あなたがその会社を選ぶ理由は何ですか。
あなたがその会社に選ばれる理由は何ですか。

コーチの依頼が来るとき その4

昨年まで3年半にわたりコーチングを続けてきた方が体調を崩されて一時中断していたのですが、再スタートしたいとお申し出があり、セッションを再開することにしました。
今週金曜日夜9時。セッションが再開します。

別に新規で「10月からコーチングを受けたい」とおっしゃる方がひとり。
私の元クライアントの友人で、会社を何とかしたいと熱意に燃える青年です。
来週の土曜日からセッションは始まります。

初めての方でも3年続けてきた方でも、始まりはやはり緊張感があります。
 どんなテーマを挙げるのだろう。
 ゴールは具体的なんだろうか。
 期間はどうだろう。
セッションで話をすると時間を取られてしまうので、あらかじめこちらからいくつかの質問をすることにしている。

①テーマについて
 ・何についてコーチングを受けたいと思うのか
 ・気になるテーマが複数あるとしたら、それぞれの重要度や優先度をどう考えているか
 ・そのテーマでコーチングをうけることで、あなたはどうなりたいのか

②ゴールについて
 ・ゴールは何か 何が達成されるとゴールと言えるのか
 ・ゴールを達成するために、課題になることや問題になることは何か
 ・(ゴールが明確でない場合)コーチングを受けることでどうなっていたいか

③クライアント自身について
 ・ゴールが達成されると、あなたにどんな変化があるだろうか(あるといいだろうか)
 ・それはあなたの人生にどんな影響を与えるだろうか
 ・5年後10年後の自分はどんな自分でありたいか

こんな内容だ。
セッションが始まる前にオリエンテーションを実施し、クライアントの様子はすでにある程度はつかめている状態なので、すべてのクライアントに同じ質問をするわけではない。
けれど、質問を投げかけた瞬間から、すでにコーチングは始まっている。
クライアントは、明らかに自分では考えたこともない質問に答えるという行動を始めているのだから。

コーチングによって手に入れるものは何だと思いますか。
あなたのこれからに、それはどんな貢献をもたらしてくれるのでしょうか。

コーチの依頼が来るとき その3

コーチを始めたころ、友人であるベンチャー企業の社長にお願いをした。
「将来を考えるとビジネスコーチがひとつのマーケットになる。御社の役員をコーチすることはできないだろうか」と。
彼は了解してくれ、その会社のふたりの取締役に話をしてくれた。
そしてふたりにオリエンテーションを行った。

数日後、ひとりから連絡があった。
彼は「社会保険労務士の資格を取る」というゴールをめざしてコーチングを受けたいと言う。
新米のコーチとしてはハードルの高いテーマではあるが、やるっきゃない。
2年半後、彼は見事に資格を取る。「取れると思わなかったでしょ」と社長に報告したという。
社長は「お前も嬉しいだろうけど、お前以上に俺は嬉しい」とコメントしたと言う。

役員に「コーチを受けてみないか」と社長が勧めるのは、
「私は君に期待している。このチャンスを生かして、社に貢献してほしい。」というメッセージ。
彼はその期待に答えたのである。

コーチを依頼した彼は社会保険労務士という国家資格をとって成長していく。
もう一方の役員。彼は社長の勧めに応じなかった。彼はこの話があった半年後にトラブルを起こして会社を辞めることになってしまった。
自分が変わりたいと思うかどうか。
そこでもうすでに、行く末は決まっているのかもしれない。

昨日、私のクライアントから紹介を受けた方にオリエンテーションを差し上げた。
そして昨夜、コーチを受けたいと依頼がやってきた。
彼は変わりたいという選択をした。
だったら、彼は変われる。
そう信じてコーチングは始まっていく。

自分が変わることで手に入れられるものは何ですか。 

コーチの依頼が来るとき その2

「コーチをしてほしい」と依頼がくるのは、コーチ冥利につきる。 このブログを始めた時にも書いた。
ふだん、コーチとクライアントの関係はなく会話をしているのに、ある日突然、
「コーチをしてくれませんか」と話を切り出される。
おそらく、相当の勇気を奮い立たせて依頼してくるのだろう。
きっと、「なんとかしたい」という気持ちが、とっても強くなってきていて、
どうしようもないもやもや感が頭の中を支配しているのだろう。
でも、「コーチをお願いしよう」と心の中で決めて、口に出すことで、彼/彼女はすでに一歩を踏み出している。
彼/彼女は、変わるための道を進み始めている。称賛される行動であるし、彼/彼女は変われるだろう。

もちろん、こんなにスムーズなケースだけではない。
家族や周囲がコーチを受けてみたらと促しても、「どうして自分が変わらなくちゃいけないの」と
変化を嫌う方も、意外と多いものだ。
馬を水飲み場に連れていくことはできても、馬に水を飲ませることができないのと同じだ。
「変わりたい」と言っていながら、「変わりたくない」と心に決めているのだろうか。
そんな時、私は積極的に営業することをしない。「話したくなったらいつでも連絡をください」とだけ言っている。
連絡をするかしないかは、当人次第。彼/彼女が連絡をしてこなかったら、それまでのこと。
ちょっと残念な気はするが仕方ない。もっと手を差し伸べるべきなのかもしれないけど、
そうではないような気もする。

優しさとは、何をすることだと思いますか?
優しさとは、何をしないことだと思いますか?

コーチの依頼が来るとき その1

コーチの資格を取って、8年になる。
コーチのスキルが社員の育成にプラスになると考えて勉強を重ねた。
会社員をしながらのコーチだったので、資格は取得したが更新はしていない。
今は、コーチの資格はない。
そして営業もしていない。
それなのに、「コーチをしてほしい」と言っていただけるのは、
全く、コーチ冥利につきます。

いちばん多いのが、クライアントからの紹介。
「私の友達が目標を達成したいと言っているんですが、コーチをお願いできますか」
「私のいとこが仕事のことで悩んでいるんだけど…」
「私の部下は優秀なんだけど、ちょっと組織マネジメントで行き詰ってて、協力してもらえないか」
私がコーチをしていることを聞いて来られる方もいる。
「ちょっと息子のことが心配で、お話を聞いてほしくて」
「コーチングとカウンセリングって何が違うんですか」
「こういうときは、どうすればいいんだろう」
いろんな人からいろんな依頼がやってくる。

コーチの依頼をいただくと、自分のコーチングが認められた実感がわいてくる。
さらには、身が引き締まる思いがする。
「自分のコーチングがこの方に通じるのだろうか」
「自分に何ができるだろうか」
そして、お会いする人と初回の面談が終わった時に必ず思う。
「この人なら、ゴールを必ず達成できる」と。


あなたがコーチに期待することは何ですか。
コーチがあなたに期待することは何だと思いますか。

2015年9月10日木曜日

アメリカンフットボールとコーチ

高校1年生から、アメリカンフットボールを始めました。
大学には部がなかったもので、仲間を集めて創部。会社にもチームがあり、26歳まで現役を続けました。
社会人3年目で、後輩からの監督就任要請をうけて監督に。36歳になるまでの10年間で、プライベートリーグから、関東学生フットボール連盟の2部まで連れて行きました。
フットボールは戦争の縮図。戦場で敵を凌ぐために、ビジネスで競合に勝利するために。
フットボールから、戦略と戦術、コミュニケーション、モチベーション等、多くを学びました。
実際にそれができているかどうかは、周囲の評価を見るしかありませんが、少なくとも、自分を形成している要素のかなり大きな部分が、フットボールに由来していると思われます。
コーチ個人のスキルノウハウの蓄積で成り立っていたコーチングが、一般化されてビジネスになっていることを知った、2000年。
フットボールのコーチが正しいものだったかを確認するために、コーチングを本格的に学び始めたのが、2004年。
これからもきっとコーチは続けていくんだろうなと思います。

あなたがめざしているものは、何ですか。
絶対に譲れないことは、何ですか。

2015年9月9日水曜日

日々のこと_20150909


「コミュニケーション実験室」のサイトが
10月1日に正式オープンいたします。

長年勤務した広告会社を辞めて2年半。
60歳を迎えるまでには
ビジネスを始められるようにと思っていましたが
いよいよ、その、定年月になりました。
今日は「コミュニケーション実験室」サイトのプレオープン。
さらに詳細を修正して10月1日に備えます。
皆さまにはどんなことでもけっこうですので、ご意見をうかがいたく。

準備をしているものだけに幸運は微笑む。
皆さまに満足いただけけるサービスを提供するべく邁進してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

スポーツとマネジメント

これまでに20人ほどの大学生をコーチしてきました。
就職活動がテーマになることが多いのですが、大学でスポーツをやる意味を話すこともあります。
「日本一になる」「リーグ優勝する」「スタメンで出場する」「試合に勝つ」「自分が得点する」等々。
目標はいろいろ。といっても、全チームが優勝できるわけでもない。一生、そのスポーツをやるわけでもない。
いや、一生なんてとんでもない。大学生活4年間しかそのスポーツをやらないという人が多いのかもしれない。

スポーツをやる理由は何でしょうか。
・苦しさに耐えられる精神と肉体を備えること
・ハングリー精神を養うこと
・チームワーク、協調性を学ぶこと
・そのスポーツが好きだから
・勉強よりも体を動かしていたいから
・就職に有利に働くのではないか
・楽しければいいじゃない 遊びだと思って楽しめばいいじゃない

確かにいろいろある。
大学体育会クラブ監督10年の経験から言えること。
会社人、社会人、自分の人生に影響を与える何かが手に入ればいいのではないでしょうか。
勝つことや、競うことではなく。勝つことや競うことで手に入れられる何か。友人なのか、戦略なのか、行動力なのか。
勝つことばかりにこだわる学生が多いんです。自分に足りないのは、やる気です。という学生が多いのも気になります。
気持ちを入れてスポーツをすることで、あるいは勝つことで、何を得たいのかを考えてほしいと常々思っています。
なかなか伝わらないのですが。

私がアメリカンフットボールをやった意味はふたつあります。ひとつは、
・大学にチームがなかったので、作ったこと。もうひとつは、
・アメリカンフットボールは戦争の縮図であり、ビジネスで勝つための戦略を教えてくれるもの
だったからです。
私の人生はフットボールの戦略とともにあったと言っても過言ではありません。
戦略立案はもちろんのこと、得意へのプレゼンテーション、広告制作、コーチングやコンサルティングにいたるまで、私のマネジメントのベースには、アメリカンフットボールがあります。


あなたが大学でスポーツから学んだことは何ですか。

スポーツの監督とマネジメント_2

私がアメリカンフットボールを始めたのは15歳。高校一年生になった時でした。
母校は日本の高校アメリカンフットボール部の歴史にもたびたび登場する高校でして。
私が始めた頃は、うるさいOBがコーチとして君臨。どなりちらすばかりで組織だったコーチングはされていませんでした。
専門誌「TOUCHDOWN」に、関西学院大学付属高等学校の監督をされていた武田健さんが「コーチ雑感」を書いておられ、「選手はほめて育てる」というコメントを読んで、母校とは全く違うと思いました。
大学に入ってフットボール部を創設した私たちは武田健方式で選手を育てました。

先日、友人の息子が高校でフットボールをやっており、私が卒業した大学のグラウンドで試合をするというので、付き添いがてら高校のフットボールを久しぶりに見に行ってきました。
友人の息子の高校は、監督が人格者で15歳から18歳までのスポーツについてポリシーをもっておられ、統率のとれたいいチームに仕上がっていると思いました。
一方の対戦相手。私はベンチの端っこにいて見ていたのですが、なんと、40年前の母校のような…。
鬼コーチが選手を罵倒しながら試合を進めていくのです。選手は萎縮し、沈黙し、おびえていました。
これで勝っていくのはかなり大変だろうなと、人ごとではありながら、学生たちのメンタル面が心配になりました。
高校も大学も「スポーツをやること」はいいのですが、一生それで食べていくならまだしも、学生生活の数年間だけをそのスポーツと一緒にすごすだけなのだとしたら、そのスポーツを通して、学生が何を身に付けるのか、将来、それを何に生かすのかを、監督やコーチたちは選手たちに伝えておかなくてはなりません。
勝ち負けも大事。協調性やチームワークも大事。役割り分担やリーダーシップも大事。フェアプレイやスポーツマンシップももちろん大事。
誰のために勝つのか。勝つことによって、何を経験させるのか。負けることによって何を学ばせるのか。
プロとしてのスポーツではなく、学生のスポーツのあり方を考えさせられた日曜日でした。

あなたはスポーツで何を学びましたか。
それが今のあなたにどんな効果をもたらしていますか。

スポーツの監督とマネジメント

2010年、ワールドカップ南アフリカ大会の時に書いたものです。

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ワールドカップが始まりました。
連日熱戦が繰り広げられています。あなたが応援しているチームは勝っていますか。
日本の試合は明日、14日が初戦、カメルーンとの試合です。皆さんの予想はどうでしょうか。
岡田監督率いる日本チームも、予選はそこそこよかったようですが、ここのところ数試合はちょっといただけません。
フィックスしようとしていたスタメンもポジションも、だいぶ変わってしまうという予想もあります。

「勝ったのは選手の頑張り、負けたのは監督采配の責任。」というのはスポーツの世界ではよく言われるフレーズ。監督が交代することによって、チームは強くなったり弱くなったり。
私は、母校のアメリカンフットボール部を10年間監督した経験から、やはり、このフレーズはその通りだと思っています。
うまく行かなかったことを選手のせいにするのは、監督として失格。そう、肝に銘じています。
準備させられなかったことの責任は選手にではなく、監督にあるのです。

スポーツの世界では、コーチのことをマネージャーと言います。
ピーター・F・ドラッカーは「マネジメントとは、成果の責任者だ」と言っています。
勝利、あるいは、敗戦が成果だとすれば、それはマネージャーの責任なのです。
レバタラ話はご法度かもしれませんが、オシムだったら、どんなチームを作ったのでしょう。
監督をやっていた経験から、試合の勝ち負けよりも、そういうことに興味が行ってしまいます。

日本がワールドカップでベスト4に入るために必要なことは何だとあなたは思いますか。

コミュニケーションはキャッチボールより難しい

「コミュニケーションはキャッチボール」というフレーズはよくできている。
「取れないボール」や「取りにくいボール」を投げ合うのは楽しくない。
確実にボールを受け取れば、きちんと投げ返すことができる。
ヘンなボールを投げられたら、ヘンなボールを投げたくなる。
コミュニケーションを成立させるには、きちんとボールを投げ返そう、ということか。
ところが、コミュニケーションは、キャッチボールほどうまくはできない。
ボール(情報やお話)を投げる×投げ返すだけでは、コミュニケーションはうまくいかない。

娘が小学校の低学年だった時、我が家ではボールを投げながら会話をした。娘がルールを発表した。
①ボールを持っている人だけが話をすることができる
②持っていない人は、話をしない
ふたつの単純なルールだ。
話したい人が話したいだけ話すためには、ボールを抱え込んでしまえばいい。
それでは会話は成立しない。会話を成立させるためには、ボールが移動しなくてはならない。
ボールが移動するのは、
・誰かに質問をして、答えてもらう時
・話してください、教えてくださいとお願いする時
だ。

家族は言う。
「どうして人間って、話してばっかりいるんだろう」
「どうして話を聞くのは難しいんだろう」
「自分だけが話すのをやめる方法はあるんだろうか」
人は話すことが好き。アウトプットが好き。話さないではいられない動物だ。当然、その反対で、聞くのは難しい。
その理由を学術的に解き明かすのは学者先生にお願いするとして、
「自分だけが話すことをやめる方法」は、ある。
もし、自分が
「いつも話過ぎているな」
「みんなは私のことをおしゃべりばかりしていると思っているな」
「自分では話したいという欲求をなかなか抑えきれない」
といった症状のある方にはお勧めする方法。
単純明快。
「他人に話させる」ことだ。
自分が話を我慢することは難しい。抑えようとすればするほど、ストレスはマグマのごとくに噴き出してくる。
自分も話したいけど、まずは「話させる」ことを優先してやってみる。話し終わった相手は、
「ああ、存分に話したなぁ」という満足感があると、「聞き手にまわること」ができる。
その瞬間に、待ってましたとばかり、こちらが話を始めればいいのだ。

では、「他人に話をさせる」ためには何をするか。
・質問する
・「話して」とお願いする

このふたつしかない。
そして、このふたつであれば、簡単にできる。
きっと、簡単に、できる。

あなたは、自分が話すほうですか? それとも
相手に話をさせるスキルを十分に備えているほうだと言えますか?

コーチングって、何?

コーチはもともと、ハンガリーのコチェっていう都市が語源と言われています。
馬車を作っていた町。それで、馬車のことをコーチっていうようになりました。
馬車は、乗客を目的地まで連れて行きます。コーチも同じ。
馬でもなく、御者でもなく、車輪のついた箱でもなく、
乗客と一緒に目的地まで行く仕組みがコーチ、というわけです。

コーチによって「コーチングとは何か」という問いへの答は違うと思いますが
私はこんな風に定義しています。

 ① 明確な動機付けを行い
 ② 行動変容を起こし
 ③ ゴールを達成する

ための、コミュニケーションスキル。

「ゴールは何か」だけではなく、
「ゴールを達成することで手に入れるものは何か」
「ゴールの先にあるものは何か」
が見えていると、行動しやすくなります。

とはいえ、じっと考えているだけでは、何も起こりません。
少しずつ行動してみること。
変化を実感してみること。
少しくらいつまづいても、もう一回やってみればいい。
小さな積み重ねが、ゴールへの近道なのかもしれません。


あなたにコーチがついていると、何が変わると思いますか。