2015年10月26日月曜日

フィードバックが人を成長させる

私はコーチを職業としていますが
会社人であった時には、後輩や部下たちのコーチもしていました。

ある時、途中入社の社員を集めて行う研修の担当者が
私のところに相談に来ました。
「先輩社員のパネルディスカッションをやりたい」と言って。
そして、
「司会をやってほしい」とも。
「え?私みたいなオジサンが出ていってもしょうがないでしょ。
 自分で企画したんだったら自分でやろうよ」と突き放しました。
「でも、自信がない」と彼女。
「その研修が終わった後に、受講生にはどう思ってほしいの?」
「この会社に入ってよかったな、とか、
 自分もやっていけるな、とか」
「ゴールのイメージはできているんだね。だったらできるね。」
そして私から提案をしました。
「育成チームのメンバーにパネラー役をお願いして、
 ファシリテーションの練習をしてみたらどうだろう」
さっそく彼女は3人のメンバーに声をかけて、シミュレーションを行った。

1回目はしどろもどろだった。
メンバーの3人からは、厳しいフィードバック。
「自分のメモばっかり見ていて、もっとこっちの話を聞いてほしかった」
「目があちこち泳いでいて、こちらが不安になった」
「顔の表情が硬くて、自信がないように見えた」
そして一週間後、もう一度、練習を行った。

今度は見違えるようなフィードバックがあった。
「話をじっくり聞いてくれて嬉しかった」
「前回と違って、たくさんうなずきがあった」
「目を見て話していくれたので、安心して話すことができた」

そして、彼女は言った。
「私、久しぶりに、自分が成長している感じがした。」と。

本番が上手くいったことはいうまでもない。

予行演習をすることは誰にでもできる。
ところが、正しいフィードバックを得られなければ
次に生かすことはできない。

もし、最初のシミュレーションで
「全然だめだよ。もっとはきはき言葉を出さなくちゃ」
「お前、俺の話、聞いてないだろ」
「おい、会社に入って7年間で何を学んでいたんだ」
なんていう意見、感想、アドバイスをもらってしまったら
どうなっていただろうか。

育成担当チームはフィードバックのスキルをすでに習得していた。
的確なフィードバックを得られたことで、
彼女は修正ができ、2回目に臨むことができたわけだ。

適切なフィードバックは人を一歩も二歩も前進させる力がある。
私はそう信じている。


あなたは、フィードバックをこころがけていますか。
あなたは、周囲からのフィードバックを求めていますか。

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