2016年4月26日火曜日

ファシリテーション③ ルールを守る

ファシリテーションの話をしています。
今回は、ファシリテーションのルールについて。

ファシリテーション③。
「ルールを徹底することで、ミーティングは前に進む」

ファシリテーションにはいくつかの大切なルールがあります。
メンバーとファシリテーターがルールを守ることで、
ミーティングは見違えるように進化します。
そして、ルールを守り、ルールを守らせることが
ファシリテーターの最も大切な役割のひとつなのです。

◎冒頭にファシリテーターが話すこと
・出席者に、行動承認
 ex.「本日も定刻にお集まりいただきまして、ありがとうございます。」
・欠席者については、どんな理由で来られないのかも説明
・今日、何について議論するかを確認する
・継続しているミーティングであれば、「前回の結論」を確認
・今日は「何を決める」のかをメンバーに再認識させる
・細かい約束ごとを繰り返す
 ex.「今日の書記は、〇〇さんです」
   「終了時刻は○時○分です」
   「人の発言を否定しないでください」
   「ポジティブな言葉を使ってください」
   「みんなが均等に話ができるように」  等々

◎ミーティング中、ファシリテーターが守ること
・ニュートラル
・聞く
・疑問を残さない
  発言が理解できない時、難解な時など、都度クリアにする
・発言を承認する(発言にお礼を言う)
・発言を奨励する
・反対意見も歓迎する
・均等に話をさせる
・インタラクティブに
・偏りのないように 時には視点を変えて
・ゴールを意識させる
・不必要な発言に注意を与える
・話し過ぎない
・結論に誘導しない
 ×「じゃあ、こうすることにしましょう」
 ○「じゃあ、これはどうしましょう」

◎時間を守ること
・開始予定時刻の5分前に着席
・開始時刻を厳守
 メンバーがそろっていなくても始める
・開始時に終了予定時刻を告げる
・終了予定時刻に終わる

◎結論の出し方
・「結論」は、最終的な「結論」ではなく「その日の結論」であっていい
・自らが結論に誘導しない
・できる限り、メンバーに結論を言わせる

◎ミーティングの終わり方
・参加者に成果承認
 ex.「今日も活発な議論をありがとうございました」
・「今日の結論」を繰り返す
・書記に、いつまでに議事録を回付できるかを尋ねる
・次回の予定を調整する
・参加してくれたことに謝辞を述べ、
 次回も定刻に集合してくれるよう要請する
・「忘れ物がないですか」と尋ね、実際に歩いてチェックする
・会議室を退出しなければならない時刻の10分前までに終了する

すべてを事務的にやろうとすると、ちょっと違和感も生じるので、
あくまでも自然に。
毎回繰り返さなくても、理解しているなと思われるところは省略してかまいません。
臨機応変に。
冒頭に示した「その日の結論」には到達しないかもしれません。
それでもメンバーが「この議論は確実に進んでいる」と感じることができれば
ファシリテーションの第一歩は達成していると思いましょう。

ファシリテーションは促すこと。
参加を促し、発言を促し、議論を促し、結論を出すことを促し。
ファシリテーターは、議論の中身をどうこうしようとするのではなく
議論の流れを絶やさずに、ゴールまで見届けることが求められるのです。


あなたのミーティングは、活発な意見交換がなされていますか。
ここを変えたいな、と思うところはどんなところでしょう。

チームミーティングが変わることで、
チームにどんな影響があるでしょうか。

日々のこと_20160426

先日、柳家花緑さんの落語を聞いてきました。
第33回「花緑ごのみ」。私も何回かお邪魔しています。
 
人間国宝、5代目柳家小さんの孫である花緑さん。
「古典も始まりは新作」と言いながら、
時代の話題を落語にして若い層にも人気があるのですが、
今回は古典。志ん生が得意にしていたネタも
披露していました。

「枕」はアイスブレイクで、
「口上」はファシリテーターさながら。
ひとつの「話」が「フレーム」、「フレーム」には
ひとつの「ネタ」が中心に置かれ、
全体は「4つの話=4つのフレーム」で構成されている。
会話の交信はなくとも、気持ちが通じ合うことで、
お客様には満足をもってお帰りいただく。
日本伝統の話芸には、コミュニケーションの要素がいっぱいです。
 
コミュニケーションの面白さをあらためて感じた一日、ではありました。

2016年4月15日金曜日

ファシリテーション② ニュートラルであること

前回からファシリテーションの話をしています。
今回は、ファシリテーターの基本スタンスについて。

ファシリテーション②。
「基本は、ニュートラルであること」

中立な立場で発言を受け止め、議事を進め、結論に到達できるか。
ファシリテーションの成果を決めるのは、
ファシリテーターが中立であるかどうかにかかっている。

ファシリテーターは、結論を導いてくれる人ではない。
アイディアをくれる人でもなければアドバイスしてくれる人でもない。
個人の意見に特別な賛成をするわけでもなく、反対・否定をすることもない。
だからと言って冷淡な態度を執るわけではない。
「いい」とも「悪い」とも言わない。
評価をしない。
判断をしない。

否定形が続いてしまった。
言い方を変えてみよう。

ファシリテーターは、
・参加者の意見をきちんと受け止め
・受け入れる
・気持ちを発信させるように気を配り
・発言することを促し
・発言したことを承認する
・メンバー全員に発言の機会を与え
・意見交換を活発化する
・ゴールへの方向とは異なる言及には勇気をもって警告も発する
・共有したゴールをめざして進んでいることをメンバーに意識させ
・議論が結論に至ることを歓迎する

結論は、ファシリテーターが想像・想定したものと異なっていても問題ではない。
結論に対する個人的意見を言うことはないが、
結論を出さないことについては意見を言うだろう。
ファシリテーターが結論を出すことが目的ではなく、
チーム、組織、メンバーが
自らの結論を出すことがファシリテーターの役目だからだ。

同じことが、コーチングでもカウンセリングでも言える。
コーチやカウンセラーは、常にニュートラル。

自分と意見が合わなくても、選択が間違っているとわかっていても
「それは違うな」という言い方はしない。(コーチの多くは、しない。)
自分の思いを吐露すること、自己開示すること、行動することは大いに奨励するが
思いの中身、考えていること、行動そのものに対して意見を挟むことはまずない。
(こうだ、と思える行動をするために多くの可能性を考えさせることはするだろうが)

「それは違う。こうしたほうがいい」
「そうじゃないよ、こうすべきだよ」と言っても
クライアントが従わないことを、コーチやカウンセラーは知っているから。
人は他人のアドバイスを容易には受け入れられない動物。
そしてアドバイスをもらうことで依存が起こってしまう。

クライアントの自律を阻害することを、
コーチやカウンセラーはしないのだ。

課会、部会でも、議論の場であるならば、「ニュートラル」が基本。
やっかいなのは、所属長が司会もしくはファシリテーターをやる場合。
どうしても、個人的な見解や主張が全面に出てしまい、
一方的な誘導や偏見に満ちた判断が行われてしまう危険性がある。
所属長に追従している部下が司会もしくはファシリテーターをやる場合も
所属長におもねったファシリテーションになりがちなので注意が必要。

「オレがオレが」という所属長の場合は特に注意。
警鐘を鳴らすことは重要だが、聞こえない警鐘は意味がないし、
「オレがオレが」の人は警鐘さえも受け入れないだろう。
となると、組織が組織として継続できる可能性も下がってしまう。

肝に銘じて司会・ファシリテーターの任を果たしてほしいと思う。


あなたが参加している会議は、ファシリテーションが機能していますか。
あなたがファシリテーターを命じられたら、
どんなファシリテーションをしたいですか。

2016年4月6日水曜日

ファシリテーション① それは、促すこと

ファシリテーション能力が会議の成果を左右する。

そんなこと、今では常識のようになってしまったけど、
昔は、ちょっと感覚が違っていた。
「この会議はどうして同じことばかり話し合っているんだろう」
「どうして決まらないの?決めないの?」
「定刻に始まらないし終わらない理由は、何?」
なんとなく、ただ感覚として会議に問題があることだけは気づいていた。
問題の存在を「ファシリテーション」が説明してくれた。

あちこちでファシリテーション能力が求められている。
会議だけではなく、グループの何気ない会話でも生かすことができる。
チームビルディングにも必要だ。「重要だ」かもしれない。
世の中が求めているスキルのひとつのように感じる。
数回に分けて、ファシリテーションについて書くことにする。

①ファシリテーションは促すこと。

facilitateを辞書で引くと、
・容易にする 楽にする
・促進する 促す
と出てくる。
もともとは生理学の言葉なのだろうか。
「神経経路の中を興奮が通りやすくなること」というのも出ている。

・議事進行を容易にする
・思考を楽にする
・ディスカッションを促進する
・決議決定を促す
まさに会議のための単語のよう。

生理学の言葉を借りれば、
「風通りがよくなること」
ということは、
「コミュニケーションをよくすること」
まさに、感情の授受、発信受信、人間関係をよくするための
スキルと言っていいのだろう。

 ファシリテーションは、促すこと。

そう考えると、ファシリテーションの理解は容易になる。


あなたが普段、誰かに、何かに、促されていることは何ですか。
あなたが普段、周りに促していることは何ですか。

2016年4月4日月曜日

日々のこと_20160404

先日、某公益財団法人にうかがい、研修講師をしてきました。
テーマはコミュニケーション。チームの中を、チーム間を、

あるいは外部との関係を、より活性化するために、
ディスカッションと演習で構成した3時間。

「自分たちはもっと成長できる」と、
受講された皆さんは確信していただいたようで、
とても嬉しく思います。

研修の成果はアンケートの良し悪しではありません。
実際に、研修で学んだことが組織や個人に根づくか、です。
忘れることを前提とした”研修”に限界があることは明らか。
受講された方々の地力になるような時間に、と

講師を続けています。

あなたの組織で求められている力は何ですか。 
継続・再生できる力をつけるには何が必要だと思いますか。

2016年3月19日土曜日

コーチングのスキル④ フィードバック

自分が変わるために、あるいは成長するために、今の自分に気づくことはとても大事なのですが、
なかなか自分で自分を見て気がつくことは難しい。限界があります。
そこでコーチはクライアントの行動や言動で気がついたことをフィードバックします。
「こうなってるよ」と知らせることで、「じゃあこうしてみよう」と行動するためです。
 
フィードバックはもともと電気の世界の話。
AからBまで、電気がどれだけ流れました、ということをBがAに伝えるというものです。
コーチの世界では、ふたつ。
 
・客観的事実を伝える
・主観的事実を伝える
 
ふたつを使い分けることで、効果的にフィードバックをすることができます。

・あなたは私と話しているときに、90%の時間、私の目を見て話していました。
・あなたが私の話を聞いている時に、足を組んで、腕組みもしていました。
 
これが「客観的事実のフィードバック」。
 
・私の目をじっと見ながら話してくれたので、私にはあなたの情熱が伝わってきました。
・足を組んで腕組みもしていたので、私の話は聞きたくないのかなと感じました。
 
これが「主観的事実のフィードバック」です。
 
あるとき、私の近くにいた後輩(当時25歳)が、
「小篠さんのフィードバックは受け入れられるのに、
 どうして、上司の○○さんのフィードバックは受け入れられないんでしょう」
と言います。
「どんなフィードバック?」
「あなたの言い方は、ちょっと高圧的なのよね。
 あれじゃあ、ダメだよ。
 新入社員も素直に聞けないよ」

これはフィードバックではありません。
「言い方が高圧的」と感じているのは、「上司」の感じ方か判断か。あるいは評価。
新入社員の気持ちを代弁しているつもりかもしれませんが、本当かどうかは不明。
「ダメだ」と言っているのは上司であり、上司の評価を押し付けているのと同じ。
しかも、それだけが原因で「新入社員が素直に聞けていない」と、
不確かな因果関係を断定的に伝えています。
これは、「こんなやり方じゃダメだよ」と言っているのも同じで、
到底受け入れられるものではありません。

「いつもと違って、声のトーンが強いように私には聞こえたよ。」
「そうとう頭にきているっていう感じが伝わってくるよ。」
「あなたの話を聞いていた新入社員は、今、どんな気持ちになっているだろう」
加えて、
「もし、次に同じようなことが起こったときに、あなたは新入社員にどう対応する?」
質問に答えることで、次に同じことを繰り返さなくなる可能性が高くなります。

私はフィードバックの文化を会社や組織に根づかせたいと考えています。
新入社員研修で「フィードバックとは何か」「フィードバックの方法」を伝えた上で

 1.フィードバックをする
 2.フィードバックを受け入れる
 3.フィードバックを求める

を習慣づけてみてくださいとお話をたところ、彼らは、
先輩トレーナーと交換する業務日誌に、

 「もっとフィードバックがほしい」

と書いていました。
ああ、みんな、若い子たちは成長したいんだなって、思ったことを覚えています。

人は指示命令されなくても変わっていけます。
わずかな事実を伝えるだけで、人は成長していけるのです。

2016年3月11日金曜日

日々のこと_20160311

弥生某日、某社研修所、受講者49人。
3時間をいただいてマネジメント研修を行ってきました。

ひとりでも部下を持った時からマネジメント力が必要になる。
肩書や知識だけではマネジメントはできないし、
時間と経験を重ねても優秀なマネジメントにはなれない。

 マネジメントとは何か
 マネジメントの役割とは何か
 リーダーとマネージャーは何が違うのか

そんなことをディスカッションしながら理解していただくと同時に、
部下とどういうコミュニケーションをとるのか、ワークも行う。

マネジメントの成長が会社を成長させていく。
そう信じている。