2016年3月11日金曜日

日々のこと_20160311

弥生某日、某社研修所、受講者49人。
3時間をいただいてマネジメント研修を行ってきました。

ひとりでも部下を持った時からマネジメント力が必要になる。
肩書や知識だけではマネジメントはできないし、
時間と経験を重ねても優秀なマネジメントにはなれない。

 マネジメントとは何か
 マネジメントの役割とは何か
 リーダーとマネージャーは何が違うのか

そんなことをディスカッションしながら理解していただくと同時に、
部下とどういうコミュニケーションをとるのか、ワークも行う。

マネジメントの成長が会社を成長させていく。
そう信じている。

2016年3月8日火曜日

コーチングのスキル③ 承認する

コーチングのスキルで、「承認する」も重要なスキルのひとつ。
コーチングだけでなく、上司部下、親子関係でもたいへん重要な働きをするスキルです。

承認には、存在承認や成果承認というものがあります。
存在承認というのは、まさに、あなたがそこにいることに気がついていますよ。というもの。
「挨拶」が代表的です。おはよう。というのはそこにいることを知っているよ。ということ。
名前を呼ぶこともそうです。挨拶する時に、「田中君、おはよう」と言われると、田中君は、
「あ、この人は自分を見てくれている。自分に挨拶してくれた」という思いが生まれ、
帰属意識が強くなるといわれます。
行動承認は、やったことを認めること。「これをやったんだね」
「前回は5回だったけど、今回は10回できたね」
成果承認は、行動した結果、どうなったのかを認めること。
「手伝ってくれてとても助かりました。ありがとう」

アクノリッジメントを英語の辞書で調べますと、「感謝する」という意味も出てきます。
その代表的な言葉が「ありがとう」。
お願いしたことをやってくれたときには、いつでもありがとうとまず言う。
それが承認になるのです。

「承認する」のエピソードをひとつ。
娘が2歳ごろの話。
「ねえママ、この本読んでくれない?」とワイフに言うわけです。
ワイフはちょうどその時夕食の準備をしている。
ワイフが娘に「今、ご飯の準備しているから、後でね」っていうと、
娘は泣き出します。
「あやちゃんは、お母さんに本を読んでもらいたいのね。
 あやちゃんは、ご本、大好きだものね。
  でもさあ、いまご飯の準備しているから
 できないんだ。ご飯の後だったらいいよ。」って答えると、
娘は泣きません。
自分の気持ちを受け止めてくれた。
何をしたいかが伝わったとわかると泣かないのです。

「ほめて育てる」といいという方もいらっしゃいます。
「偉いね」「いい子ね」「よくやった」のような言葉たちです。

ところが、「承認」は「ほめる」こととはかなり違います。
ほめられるとやる気になるというのは確かですが、
ほめるだけでは成長しないとも言われます。
「ほめられるためにやる」ようになってしまうことがあるからです。
それよりも、達成したことを、「達成したね」と言ってあげるほうがいい。
次に、また達成しようと思うからです。

心理学者アドラーも、「誉めてもいけないし、怒ってもいけない」といいます。
事実だけを伝えるだけで十分。承認するということです。

幼児教育の専門家であった、イスラエルの学者ギノットは、著書の中で、
子どもを褒めて育てるのは良くないと言っています。
承認してあげなさいと。

スタンフォード大学のキャロル・ドウェックの調査がとても興味深い結果を出しています。
ブログの「子育て(ほめることの功罪)」をご覧ください。


名前を呼ぶのも承認。
挨拶も、ありがとうも、承認。
皆さんは普段どれくらい承認をしていますか。

承認されるといい気持になります。
いい気持になると、前に進む気持ちになります。

コーチは、クライアントが前に進むためにコーチをしているのです。

2016年3月1日火曜日

コーチングのスキル② 質問する (番外編)

コーチングスキルのふたつめとして
「質問する」について2回にわたって書いてきました。

今回は番外編。
コーチングでの実際の会話ではなく、
映画の中に面白い会話があるのでご紹介します。

邦題「きみに読む物語」(原題"The Notebook")は2004年の米国作品。

主人公アンは貧しい青年ノアとひと夏の恋に落ちる。
両親に引き裂かれたアンは7年後に裕福な弁護士と婚約するが
ノアを訪ね、7年前の愛を確かめあう。
アンは、自分がどうすればいいのか不安になる。
そして、7年前と同じように口喧嘩。
だったらもういいわ、ってな調子で去ろうとするアン。

ノアは、アンに何度も質問する。
「君の気持ちはどうなんだ」と。

"Would you stop thinking about everyone wants?"
"Stop thinking about I want, he wants, parents want."
"What do you want?"
"What do you want?"
"W H A T  D O  Y O U  W A N T ?"
"What do you want?"

「周りがどうしたいかなんか考えないでほしい。
 僕の気持ちはどうでもいい。
 君がどうしたいかなんだ。
 婚約者や両親がどう思おうと、関係ない。
 本当は君はどうしたいんだ。
 君がどうしたいか、なんだ」

と迫るノアに、アンが答える

"I have to go."
「私、行かなくちゃいけない」

ノアは、その一言を聞いて歩き去っていきます。

人は、どうしても、自分の頭の中にある
固定観念や常識、べき論、建前、傍目、体裁、遠慮、気遣いに拘束される。
そうではなく、
 自分はどう思っているのか
 自分はどうしたいのか
 自分の気持ちを大切にしようよ
とノアは必死になるのに、アンは
「こうしなければならない」
と答えてしまう。

"I wanna go." ではなく、"I have to go."
質問の答になっていないと深刻になるより
人は、そういう決め方をすると考えたほうがいいのでしょう。


コーチはクライアントに何度も質問します。

「あなたはどうしたいの?」と。

あなたの心の奥底にある、
「こうしたい」
「こうなりたい」
という思いを引き出すために、コーチは

「あなたはどうしたいの?」と繰り返すのです。

決して正解を見つけさせるためではなく、
自分が何をしたいのか、どうしたいのかを考えることで
何かに気づく、何かを発見することを促しているのです。
もちろん、コーチにはその答が正しいのかどうかはわかりません。
正しくはないかもしれないけど、少なくとも、誰かの影響を受けた
他人の思い・期待・思惑に応えるような決定をくだすのではなく、
正直な自分の答を見つけようよと提案するのです。

あなたも自分に問うてみませんか。

「自分はどうしたいんだろう」
「私は何をしたいのだろう」
と。

まるで、自分が自分をコーチするように。

日々のこと_20160301

6年ほど前のクライアントが
息子と一緒に事務所を訪ねてくれました。
その夜、彼女はこんなメールをくれました。

 あれ以来、これはまずいな、と思ったら
 自分の考えや悩みを上司に相談するようにしています。
 自分自身でどうしたいか、を
 自分に問いかけながら。

相手にアドバイスを求めるのではなく、
「結局自分はどうしたいのか」
を見つけるために相談する。
自分で決めていくことを習慣づけることができた
というメールは、元コーチである私にとっては、
たまらなく嬉しいメールになった。

パズルで遊んだ彼女の息子(3歳男子)も、きっと
自分で答を見つけられるおとなになっていくことだろう。

2016年2月23日火曜日

コーチングのスキル② 質問する (後半)

コーチングスキル②は「質問する」でしたが
ちょっと長くなったので、半分にしました。
今日は後半です。


コーチは質問をします。
効果的な質問ができるようにと訓練もします。
効果的とは、新たな気づきがある質問であったり、視点が変わる質問であったり。
自分の考えを深める質問であったり、行動が変わる質問であったり。

実例をご紹介します。

コーチを学ぶ人たちのトレーニングをやっているときのことです。
あるクライアントが、息子との関係がちょっとギクシャクしているという。
「どんな母親であればいいのかをコーチしてほしい」ということで、
みんなで質問を出し合いました。お母さんに投げかける質問です。
私はこんな質問はどうかと思って、してみました。

「息子さんに、『どんな母親になってほしい』と聞いたら、彼はなんと答えるでしょうね」

彼女は、「ガーンと頭を殴られた感じがした」と言いました。
息子のことを考えている自分が、母親からの一方的な視点でしかなかった
ということに気づかれたんですね。
あなたが思う理想的な母親像と、息子が思う母親がこうであってくれたら、
というのは違うんです。
「そのふたつは違うんですよ」って言っても気づかない。
自分で気づかないと自分のものにならないのです。

もうひとつ、こんなことも。

会社で私の隣に座っていたお母さん社員。小学生の男の子がふたりいます。
彼女いわく、
「息子が全く私の言うことを聞かない。私は叱ってばかり。
 自分が嫌になってしまう。どうすればいいでしょうね。」
私は言う。
「子どもは、親にああしろこうしろって言われてもなかなか聞けるものではないよ。
 あれこれ言うのはやめる代わりに、君はどうしたいって質問することできる?」

彼女の顔には、そんなことできるわけない、と書いてあるようでした。
数か月経った頃、彼女が突然言うのです。
「最近、息子が変わってきた。
 自分から、『これ、こうしたいんだけど、どうだろう』って
 言うようになった。なんか、ああしろこうしろって言わなくても、
 自分で行動するようになった」
というのです。
決してそれは、怒られる前に確認しておこうというものではなく
自分で考えるようになったようだと言うのです。

彼女は命令するのをやめていたのです。
「あなたはどうしたいの?」と聞く方法に変えていたんです。
すると、息子も変わったのだそうです。

効果的な質問といっても、すぐに「あ、こういうのが効果的なんだな」と
わかるものではないでしょう。
しかし、気づき、視点、考えを深める、行動する、といった
変化をもたらす質問は、イエス、ノーで答えられるクローズドクエスチョンでは
難しいというのはおわかりになると思います。

一方で、「念を押す」とか「確認する」場合には、
クローズドクエスチョンを意識して使います。
「来週までに、できますか」「これ、やっていただけますか」みたいにですね。
コーチはクライアントに対してときどきプレッシャーをかけます。
そういうときには、クローズドクエスチョンです。

さて、「質問する」というスキルの中で、
ちょっと気をつけていただきたいフレーズがあります。
使い方によって、相手の印象が変わる疑問詞です。

「なぜ?」という疑問詞。

たとえば、
「なぜ、できなかったの?」 は、
「ちゃんとできなくちゃダメじゃない」 というメッセージになりがち。
「なぜ、やらなかったの?」 は、
「やれって言っただろう。どうして私の言うことが聞けないんだ」
否定形と「なぜ」が重なるだけで、ニュアンスが変わります。

「何があれば、できたと思う?」
「障害になったものは何?」

と言い換えてみるだけで、メッセージは全く変わります。
人格を否定するような質問になりがちな「なぜ」。
行動に着目した質問にカタチを替えるほうが人は答えやすいものなのです。

質問はあくまでも相手の思考や感情を解放し前進させるもの。
コーチのための質問ではなく、クライアントのための質問を
こころがけたいものです。

2016年2月13日土曜日

日々のこと_20160213

今週月火と、某社鎌倉研修所に行ってきました。
新入社員を指導する役割を与えられた、若手から中堅社員を対象に
コミュニケーションスキルの研修を行ってきました。


二日間の研修で行うことは
 ・新入社員世代を理解する
 ・ケーススタディから自分たちがどうするかを検討する
 ・コミュニケーションスキルを習得する
 ・トレーナーの心得を認識する
5年目から15年目の社員たちは、新しい知識や気づきをそれぞれに得て、4月の新人入社に向けて準備を開始しました。


新人のお世話係をここまでトレーニングする会社を私は他に知りません。
大卒新人が3年間で35%が退職するという日本企業の中で
わずか3%しか辞めない秘密があるように思います。

私にとっても有意義な二日間ではありました。
ありがとうございました。

2016年2月6日土曜日

コーチングのスキル② 質問する

コーチングを知りたいという方のために、前回から
コーチングのスキルについて書いています。

第2回は、「質問する」というスキルです。


質問することも、コーチングでは大事なスキル。
 「コーチは質問しかしない」とか
 「コーチングとは質問すること」と言う人もいるくらい。

誤解ではあるのですが、
それほどまでに「質問する」というスキルは
クライアントの思考や行動を左右させるものなのです。

質問にはいろんなタイプがあります。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンが、大分類。
イエス、ノーで答えられるクローズドクエスチョン。
考えないと答がうかんでこないオープンクエスチョン。

オープンクエスチョンの中にも、限定質問と拡大質問があり
誰? どこ? いつ?など、答がわかっているのが限定質問。
考えないと答が出てこないのが、拡大質問。
What?  Why?  How?  何? どうして? どんなふうに?などです。

ただし、使い方によっては、拡大質問の疑問詞も、限定質問になります。

 昨日のパーティでは何を食べましたか? 

は限定質問。
昨日食べたものというのは、限定されてしまう。
思い出しさえすれば答がわかるわけで、
過去の質問はほぼ限定質問になります。
 
 来週のパーティ、あなたが幹事をするとしたら、
 どんなパーティにしたいですか。

これは拡大質問。
あなたの意見や意志、考えや感情が答を導き出す質問です。

拡大質問は、人間は思考をめぐらします。
未来の質問は多くが拡大質問になります。

コーチは、クライアントが考える質問をします。
特に、未来に向けた質問をたくさんします。
すると、クライアントの頭がどんどん回ってきます。
頭が回るとどうなるかというと、
オートクラインというのが起こります。
自分で話していることで、自分の頭が整理されてくる。
明確になってくる。確信するようになる。
そんな経験ありませんか。

オートクライン(Autocrine)は細胞生理学の言葉。
細胞が分泌するものが、他者ではなく自分に影響を与える機能のこと。
思考が巡るとでもいうのでしょうか。
コーチの質問によって、自分がどんどんと考えを進めていく。
考えを進めるだけでなく、行動するようになる。
行動することで、変化を手に入れ、達成感を味わい、
さらに変わっていくことができる。
一連のプロセスを経験すると、
自発的に、そして自律的に行動するようになります。
ですからコーチは質問をするわけです。

質問するときには注意すべきことがありますが
それはまた次回に書きましょう。


質問のスキルを簡単にまとめておきます。

 相手に考えさせる、気づかせるような拡大質問。
 過去を確かめる質問よりも、未来に向けた、思考を展開させる質問。

コーチがそんな質問をこころがけて会話をしています。


あなたは質問をされるとどんな気分になりますか。
いい質問だなと質問はどんな質問ですか。