コーチングのスキルで、「承認する」も重要なスキルのひとつ。
コーチングだけでなく、上司部下、親子関係でもたいへん重要な働きをするスキルです。
承認には、存在承認や成果承認というものがあります。
存在承認というのは、まさに、あなたがそこにいることに気がついていますよ。というもの。
「挨拶」が代表的です。おはよう。というのはそこにいることを知っているよ。ということ。
名前を呼ぶこともそうです。挨拶する時に、「田中君、おはよう」と言われると、田中君は、
「あ、この人は自分を見てくれている。自分に挨拶してくれた」という思いが生まれ、
帰属意識が強くなるといわれます。
行動承認は、やったことを認めること。「これをやったんだね」
「前回は5回だったけど、今回は10回できたね」
成果承認は、行動した結果、どうなったのかを認めること。
「手伝ってくれてとても助かりました。ありがとう」
アクノリッジメントを英語の辞書で調べますと、「感謝する」という意味も出てきます。
その代表的な言葉が「ありがとう」。
お願いしたことをやってくれたときには、いつでもありがとうとまず言う。
それが承認になるのです。
「承認する」のエピソードをひとつ。
娘が2歳ごろの話。
「ねえママ、この本読んでくれない?」とワイフに言うわけです。
ワイフはちょうどその時夕食の準備をしている。
ワイフが娘に「今、ご飯の準備しているから、後でね」っていうと、
娘は泣き出します。
「あやちゃんは、お母さんに本を読んでもらいたいのね。
あやちゃんは、ご本、大好きだものね。
でもさあ、いまご飯の準備しているから
できないんだ。ご飯の後だったらいいよ。」って答えると、
娘は泣きません。
自分の気持ちを受け止めてくれた。
何をしたいかが伝わったとわかると泣かないのです。
「ほめて育てる」といいという方もいらっしゃいます。
「偉いね」「いい子ね」「よくやった」のような言葉たちです。
ところが、「承認」は「ほめる」こととはかなり違います。
ほめられるとやる気になるというのは確かですが、
ほめるだけでは成長しないとも言われます。
「ほめられるためにやる」ようになってしまうことがあるからです。
それよりも、達成したことを、「達成したね」と言ってあげるほうがいい。
次に、また達成しようと思うからです。
心理学者アドラーも、「誉めてもいけないし、怒ってもいけない」といいます。
事実だけを伝えるだけで十分。承認するということです。
幼児教育の専門家であった、イスラエルの学者ギノットは、著書の中で、
子どもを褒めて育てるのは良くないと言っています。
承認してあげなさいと。
スタンフォード大学のキャロル・ドウェックの調査がとても興味深い結果を出しています。
ブログの「子育て(ほめることの功罪)」をご覧ください。
名前を呼ぶのも承認。
挨拶も、ありがとうも、承認。
皆さんは普段どれくらい承認をしていますか。
承認されるといい気持になります。
いい気持になると、前に進む気持ちになります。
コーチは、クライアントが前に進むためにコーチをしているのです。
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